阿部寛、自ら進んで“難題”に“てんやわんや”する二枚目俳優【てれびのスキマ】

2021/03/09 21:32 配信

芸能一般 コラム

阿部寛※ザテレビジョン2010年撮影

つかこうへいの舞台出演が大きな転機に


大きな転機となったのは、1993年に 自らつかこうへいを訪ね出演することになった舞台「熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン~」だ。ここで阿部が与えられた役柄はバイセクシャルの敏腕刑事。これまでやってきたものとはまったく違う難役だった。つかから「イメージとかそういうものを全部壊して、お前を食える役者にしてやる」(「しゃべくり007」2018年5月14日、日本テレビ系)と言われ、厳しい演出を受けた阿部。

この舞台で初めて俳優として “演技”を評価された。誰しい現場に挑戦し、それを乗り越えることで道が拓けることを阿部はこれ以上ないくらい実感したのだ。

“難題”を与えられ“てんやわんや”していれば、カッコいいままではいられない。どこからどう見ても二枚目な男は、常にてんやわんやすることで可愛げを手に入れ、誰も真似できない“三枚目”俳優となったのだ。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2020年2月号