――タイトルにもなった「ポニーテイル」ですが、ふと浮かんだキーワードだったんですか?
もともと、女性誌とかの取材を受けたとき、「好きな女性の髪型はポニーテイル」と絶対に答えていたぐらい、自他共認めるポニーテイル好きだったりはして。あと、春のめっちゃ明るい日差しを想像したとき、自分の左斜め前を歩いているポニーテイル姿の女性が(イメージとして)パッと浮かんだんです。それが曲と結びついたんですけど、ピタッときたのは偶然ではありましたね。
――歌詞の世界観としては、強い想いを抱いてはいるけれど、それをそのまま伝えられない奥ゆかしさを素朴な言葉で綴ってますよね。
その塩梅がいいですよね。これまでは、ギミックに富んだ言葉を選んだり、仕掛けを作ることでより深く面白く、ということを考えていたんですけど、愛してるなら愛してると、永遠にいて欲しいなら素直にそのまま伝える。そう心掛けてました。
――想像を膨らませてもらう比喩を使うことなく、シンプルに言葉を紡ぐ。
そういうテーマがありましたね。だから、めちゃめちゃ新しさを感じてて。いかに頭を使わないで言葉を紡ぐか、脱力して臨めるかという。使っている脳みそが全然違うんですよ。
――曲作り自体の行程はこれまでと同じなんですか?
基本的には同じですね。ただ、かなりの時間を費やしていたアレンジ作業をほぼ一切やらなかった、という。ここだけは譲れないというポイントを除けば、仲良くしてもらっているアレンジャーさんに任せたんです。その分、歌詞やメロディーを深く考えるようにしました。
――よりフォーカスしたい部分に集中できるように。
今回は歌詞カードをポンッと出したとき、それで曲の9割が伝わるようにしたくて。曲の中にいろんな仕掛けがあって、というモノではなく、歌詞を読んでもらえばほとんどが分かるように、と。
――これまでの曲を振り返ると、サウンド志向が強く、その中で気の利いたフレーズが飛び込んでくるようなイメージがありますね。
そういうことをやってきたんですけど、「そうじゃないと伝えられないの?」というか。面白おかしくデコボコさせないで、キレイな滑らかさのままで人に触れてもらえるようにしたかったんです。ただ、それは意気込むとできないから、脱力して、妙な意識を排除して、想いを曲へ昇華するという。
――「ポニーテイル」には、メロディーの動きや譜割りといったビッケ節もありますけど、これは自然とにじみ出てきた部分。
そういうのが自分らしさだと思いますし、本当の自分に近づけた気がしてますね。
――先だって公開されたMVは女優である桜井日奈子さんが出演したショートムービー的な仕上がりになっています。
監督をお願いした加藤マニさんは仕掛けの多い作品を多く手掛けていて、僕は近いモノを感じているんです。いろんな仕掛けをやってきた僕が何もせず愛を語ることにチャレンジした曲だからこそ、マニさんに正面から愛を描くMVをお願いしたかった。そうすれば、全ての足並みが揃うと思ったし。ただ、僕はいろんな変遷があってこうなったわけですけど、マニさんにとっては突然の依頼だから、だいぶ苦しんでましたけど(笑)。
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