――気象予報士の資格取得のきっかけについて聞かせてください。天気に昔から興味があったのでしょうか?
昔から、空をぼーっと眺めるのは好きでしたね。空は、いちばん身近な大自然だと僕は思っていて。すぐに触れることができ、たぶんそれでリラックスできるという意識が本能的にあったのではないかと思います。
気象予報士に興味を持ったきっかけは、舞台や映画といった娯楽は、当たり前にあるように見えて、平和じゃないと一切成り立たないということを実感したことでしょうか。ここ最近、それが明らかになりましたよね。
コロナもそうですが、地震や自然災害で仕事が失われることが続きました。スケジュールが変わったり、延期という名の中止になったり。それによって無力感すら抱きました。そんなときに、役者としてだけではなく、「人の役に立ちたい」と考えている自分に気付いたんです。それで挑戦してみようかなと。
気象予報士の資格取得のために学ぶ内容は物理や熱力学で、手を出すには勇気が要るんです。テキストを手に取ってみたら、これが分厚いんですよ。一回開いて閉じて、やめました。見なかったことにして(笑)、1、2年。でも、災害や水害は毎年のように起こるし、これは避けては通れないかなと思い、30歳を過ぎてから熱意をもって取り組むようになりました。
スイッチを押したのは、父親が「頑張れ」と言ってくれたことです。ある時、「30歳を過ぎて、なんとか今やってるけど、気象予報士の資格を取ろうと思っている」と話したら、基本無口な父が、「それはすごくいいいことだな」と言ってくれて。それが最後までやる気を持続できた理由です。
父は、僕が合格する前に亡くなり、報告できなかったのが、心残りですね。父は前番組の「モーニングバード」からよく見ていたんですよ。同じ放送時間帯の番組で天気予報を担当するだなんて、奇跡的だと思います。だから見守ってくれているんじゃないかな。母もほほえましく番組を見てくれているみたいで、久しぶりに親孝行ができているのかなと思います。
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