映画「太陽は動かない」で輝く存在感 注目度上昇中の新星・日向亘「信頼される俳優になりたい」

2021/03/18 16:00 配信

映画

日向亘撮影=山下隼

「どうやって作られているんだろう?」という好奇心の方が強かった

ーー映画「太陽は動かない」の撮影は、高校1年の春から夏にかけてだったそうですね。プレッシャーはありましたか?

初めての現場だったので、「自分が見ていた世界がどうやって作られているんだろう?」という好奇心やワクワク感、楽しみの方が大きくて、緊張という感情がなかったです。今思うとすごい度胸だな、無知って凄いなと思います(笑)。

ーー本作では、ハードなアクションシーンにも挑戦しています。

クランクインの2カ月くらい前から、ときどき東京に来て、レッスンを受けました。撮影当日は覚悟を決めていったので、多少接触があっても痛みを感じなかったんですけど、1日中撮影して、ホテルに戻って、ベッドに「はぁ〜」と倒れた瞬間にスイッチが切れました。体が急に重くなって、ベッドに沈んでいく感覚で。体を見たら、アクションシーンでの傷もできていました。疲れや痛みに気づかないくらい、気持ちが高ぶっていたんだと思います。

ーー完成した作品を見た感想は?

自分がスクリーンの中にいることにびっくりしましたし、撮影がとにかく楽しかったな、懐かしいな、という気持ちになりました。特に楽しかったのは、三重県の答志島での、3泊4日のロケですね。島で撮った、滝のシーンがすごく好きなんです。僕が演じる少年期の鷹野は青春している普通の高校生に見えて、実は闇を抱えている、これから先の人生もどうなるか分からないという孤独な子。唯一の救いとなる詩織(南沙良)に本音をぶつけるシーンだったので、気合いが入りました。

ーー滝のシーンは映像も美しかったです。高校時代の描写があるから、大人のシーンが分厚くなりました。詩織を乗せて走るバイクのシーンも印象に残っています。

開放感があって、気持ちよかったです! 僕は免許がないので運転する予定はなかったんですが、撮影場所が私有地で撮れることになったので、急遽自分で運転することになりました。貴重な経験ができました。

ーー鷹野はとても重くて苦しい過去を背負っています。経験したことがない人生を歩んだ人物をどう理解し、どんな準備をし、表現しましたか?

監督からは、「準備してきたものもあると思うから、ああしろこうしろとは言わない。とりあえずやってみよう」と言われていました。僕は準備として、原作の小説『森は知っている』を読みました。小説には、台本には書かれていない、詳細な心情やバックグラウンドが書かれているので、それを台本に書き込んで、演じるたびに台本を開いて心情を確認しました。

ーー藤原竜也さんのお芝居を現場で見学されたこともあるそうですね。参考にしましたか?

はい。大人になった鷹野がこうだったら18歳のときはこうだったのかな、と自分なりに想像して演じました。

ーー鷹野は「ここじゃない場所」に希望を見出している人物です。日向さんはどんな場所に行って、そこで何を見たいですか?

僕が見たい世界……。今、芸能界の最前線に立たれてお仕事をされている方は、どの年代にもいますが、僕もいずれそこからの景色を見てみたいです。

ーーちょっと照れ笑いされていますが、野心を感じます。有言実行タイプですか?

どうなんでしょう。まあ、言うだけ言っとこうみたいな(照)。