真空の病気は常に描かれていたものの、作品のファンからは「悲しい終わり方は似合わない」とハッピーエンドを期待されていた今作。治療を終えた真空は、電動車椅子に乗って、虹ノ村へ元気に帰ってきたのである。
「にじいろカルテ」の登場人物は、それぞれ何かを抱えて生きている。
妻を目の前で亡くした過去を持つ朔や、友人関係に傷つき自分に自信が持てずにいた太陽。他にも、認知症で自分さえ分からなくなる雪乃(安達祐実)や突然夫がいなくなった嵐(水野美紀)など、家族の問題や病気、過去のトラウマなど、人それぞれに悩みや悲しみは必ずあるもの。
しかし、だからこそ、誰かと一緒に笑えるときには笑い、おいしいものをたくさん食べて、命が続く限り前を向いて生きていきましょう、というメッセージが込められていた作品だった。
視聴者はSNSで「毎週泣いて泣いて、にじいろロス確定」「寝る前の子どもにキスするようなあんなキスシーンは見たことない」「虹ノ村のみんなとまた会いたい」「どこかにきっと存在してるんだろうなと思う世界だった」とさまざまな思いをつづり、「#にじいろカルテ」は最終話もTwitterのトレンド入りを果たした。
のどじまん大会に出場した真空のせりふにもあった「つらいことがたくさんあるかと思うけれど、きれいな虹は雨が降らないと見られないもの。みんなの心の中の雨がやんで、きれいな虹が見られますように」という願いが込められていたドラマが描き出す優しい世界に、涙を流した人も多いだろう。
何かを抱えて人知れずつらい思いを抱えているのは、ドラマの世界だけではない。どんな人の心にもどしゃ降りの雨が降るときがある。そんな人にも、いつかまたきれいな虹がかかるだろうという希望を感じられる良作だった。
最終話はTVer、テレ朝動画、TELASAなどで視聴可能。2021年7月28日(水)にはBlu-ray&DVDの発売も決定している。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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