'83年に公開された劇場版角川アニメの第1作で、興行収入20億円という大ヒットを記録した「幻魔大戦」のBlu-ray発売を記念し、りんたろう監督によるトークイベントと同作品の上映会が25日、都内で行われた「秋葉原エンタまつり2009」会場で開催された。
同作は、SF作家の平井和正氏と漫画家の石森章太郎氏とが共作して描いたSFアクション漫画・小説シリーズが原作。暗黒の支配者・幻魔大王の魔手から地球を救うべく、世界の超能力者たちが集結し、戦いを挑む。
りんたろう監督は本作を見るのが26年ぶりと話し、「(製作時は)当時のアニメ映画のスタイルを全く新しくしたいと思っていて、キャラクターや、彼らが着る服、背景など、当時は記号的にやっていたことを全部やめて1から作り上げていきました。この作品が、今では当然の、リアリティーあるアニメ作りにつながっていったと思う。そういう意味でも非常に忘れがたい作品です」と振り返った。キャラクターデザインに大友克洋氏を起用したことについても触れ、「当時はまだ『アキラ』をやる前で、知る人ぞ知る存在だった。大友さんはアニメをやることにすごく不安を持っていたので、3時間かかって喫茶店で口説き落としたんですよ」とエピソードを明かした。
また、大友氏のおかげで「当時の人気アニメーターが本作に興味を持ってくれた」と話し、「後のジブリ作品などで活躍する野田卓雄さん、故・金田伊功さんなど当時のスターアニメーターをずらりと引き抜くことができたのが大きかった。特に、本作のラストの龍のシーンは金田さんにどうしても描いてほしいと思っていて、金田さんと『ここに白を1枚挟もう』とか『それじゃ駄目だ』とか、細かいところまで徹底的に話したことは、今でも大事な思い出です」と懐かしんだ。
さらに、話題は現在のアニメーターを取り巻く環境にも及び、「今は作品に平均的なレベルを求められる傾向にあるせいで個性的なアニメーターが輩出されづらい面もあるのでは。国は“アニメ館”みたいな箱モノを作るのではなく、若手を育成する事業を考えていかないと」と危機感をあらわにした。
そんなりんたろう監督の最新作は12月23日(水・祝)公開のCGアニメ映画「よなよなペンギン」。りんたろう監督は「映画『メトロポリス』('01年)を作った時にコンピューターの可能性を感じた。ディズニーやピクサーのような表現ではなく、僕らがやってきたことを生かした表現ができればと思う」と語った。
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