3月19日(日)、“ロマゴン”ことローマン・ゴンサレス対シーサケット・ソールンビサイのWBC世界S・フライ級タイトルマッチ、そしてゲンナディ・ゴロフキン対ダニエル・ジェイコブスの3団体統一世界ミドル級タイトルマッチが、ともにWOWOWライブにて生中継される。
今回特に注目を集めているのはやはり、階級を超えたボクサーの総合的な実力ランキング「パウンド・フォー・パウンド」で最強の評価が定着しているゴンザレスの勝敗だ。
年内にもゴンサレスとの頂上決戦が期待され、また同番組ではゲスト解説者を務める井上尚弥選手が、ライバル王者の防衛戦を語った。
──井上選手は昨年、3度の防衛を果たしましたね。
9月の試合は腰痛の影響もあって納得いかない内容でしたが、12月(河野公平戦=6回TKO勝ち)は、腰も拳も問題なく戦えたのでよかったと思います。
──ところで、4月10日で24歳。充実期に入りますね。
中堅クラスになりつつあります(笑)。30代後半がゴールと考えているので、ダメージを残さないように戦うつもりです。
──体が大きくなってきたように見えますが。
2月20日から24日の5日間、熱海(静岡県)で合宿を行ったので。10代のころとは体が全然違うし、自分でも大きくなった実感があります。
──上の階級に上げる計画もありますか?
年内はスーパー・フライ級で戦い、来年はバンタム級に上げるつもりです。そのあと体重増を考えて、スーパー・バンタム級まではイメージしています。
──さて、3月19日にゴンサレスとシーサケットが戦いますが、どのように感じていますか?
最初、ゴンサレスは前王者のカルロス・クアドラスと戦うのではないかと聞いていましたが、シーサケットになったんですね。シーケットは攻撃型の選手なので楽しみです。
──井上選手は昨年9月、ゴンサレスがクアドラスに判定勝ちを収めた試合をアメリカまで視察に行きましたが、そのときの感想を聞かせてください。
ゴンサレスは確かに強いことは強い。でも、スーパー・フライ級に階級を上げて以前のようなパワーを感じなかったことも事実です。クアドラスが耐えてしまったということもあると思いますが、ライト・フライ級やフライ級時代、相手が耐えきれなくなってしまったことがいっぱいあったのに、それは感じられなかった。あらためて驚くということはなかったし、スーパー・フライ級に上げて何かが変わったということは感じませんでした。
──ゴンサレスのストロング・ポイントはどこだと思いますか。
総合的にすべての面でずば抜けていると思うし、欠けているものはないと思います。特に優れているのはコンビネーションを打つ際、すべてのパンチを強く打って的確に当てていく点ですね。
──同じボクサーとして見て、それは難しいことなのでしょうか。
難しいですね。体幹が強くないと全部のパンチをつなげながら強くは打てないんです。下半身と上半身のブレが出てくるとワン、ツー、スリーまでは打ててもそこから先は打てないんです。
──井上選手はどうでしょうか?
自分はゴンサレスほどにはできていないけれど、コンビネーションに関してはタイプが違うので。ああいうコンビネーションの攻撃はしないけれど、でも、やろうとしても難しいでしょうね。
──スーパー・フライ級にしてはゴンサレスは体のサイズが小さいのでは?
どうなんでしょう…。でも、小さい選手はたくさんいるし、問題は戦闘スタイルだと思います。パワー型の選手が、体重(階級)を上げていくことは難しいんです。テクニック重視の選手は体重を上げてもパワー勝負を避けてテクニックで勝負するけれど、正面衝突のパワー勝負でやってきた選手が3階級、4階級上げるとパワーの点で壁にぶつかる。事実、スーパー・フライ級でクアドラスがゴンサレスのパンチに耐えてしまったわけですから。
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