物語はヨコハマ、街の雑踏から始まる。武装探偵社の会議をさぼった太宰治を探して走りまわる中島敦(鳥越裕貴)。敦はその後、1人の老婆があわや交通事故という場面に出くわすが、奇妙な長髪の男の出現で事故は回避。敦にはどこか見覚えのあるその男こそ、6年前に起こった龍頭抗争の首謀者・澁澤龍彦(村田充)だった。
時を同じくして武装探偵社では、「異能力者連続自殺事件」の調査に乗り出しており、澁澤はその容疑者として名前が浮上していた。そして、そんな2人を取り巻くように、ヨコハマが深い霧に覆われる。
一方、ポートマフィアでもこの事件を追い、芥川龍之介(橋本祥平)が指令を受けていた。発生した霧は、異能力者から異能を奪う力があるというのだ。芥川へ中原中也(植田圭輔)から下された指令は、澁澤の打倒でなく、澁澤をヨコハマに招き入れた罪人・太宰治(田淵累生)の殺害だった。浅からぬ思いが太宰にある芥川はその指令に驚愕するも、自らの異能を取り戻すべく、太宰らのいる“骸砦”へと向かう。
それぞれの目的を果たすため、探偵社、ポートマフィアが動き出す中、“骸砦”で澁澤と相見える太宰。そしてそこへ現れる魔人・フョードル(岸本勇太)。
白い衣裳をまとった3人は舞台上でも特出して異彩を放つ。高い思考を持つ3人の腹を探り合うような会話のテンポが見ている観客を舞台へと引き込む。
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