ALTERNATIVE ACADEMY ceroが2年越しで圧巻のライブ!

2017/03/24 21:11 配信

音楽

“都市と音楽の未来”をテーマに、スペースシャワーTVが主催する音楽とカルチャーの祭典「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017」。その一環として、ライブイベント「SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY」が3月4日、東京・Shibuya WWW Xにて開催された。同イベントの模様をリポートする。

「SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY」は、東京から世界の音楽シーンに自信を持って薦める気鋭のアーテイストが集結したオールナイトイベント。独自のスタンスで新しい音の世界を探求する7組のアーティストが、東京の夜を熱く盛り上げた。

オープニングとトリ前の二回にわたりプレイしたokadada


まずDJブースに登場したのはokadada。前半は洋邦のヒップホップを中心に、アーバンな香り漂うナンバーを次々とプレイし、ライブアクトが始まる前の観客の体をほぐしていく。

これから夜通し続くパーティーに相応しいナンバーの連続に、観客からも要所要所で歓声が上がる。この後登場するceroの前に、彼らとも関係の深いVIDEOTAPEMUSICの曲を流したかと思えば、後半はアメリカンポップス風のナンバーまで、多彩な楽曲でフロアを盛り上げた。

人気曲を凝縮したセットリストで観客を沸かせたcero


続いてステージに登場したのはcero。昨年の同イベントにも出演予定だったが、その際メンバーの体調不良により出演がキャンセルに。

この日のステージは、メンバーの高城晶平(Vo./Gt./Fl.)、荒内佑(Key.)、橋本翼(Gt.)3人に加えて、キーボード、ギター、ドラム、パーカッションを加えた7人編成。まずはオープニングとして、ジャムセッション的な演奏でボルテージを高めていく。

そして1曲目からアンセム「Summer Soul」のイントロが鳴り響くと、観客のテンションは早くもMAXに。'15年発表のアルバム『Obscure Ride』収録のバージョンからアレンジを変え、黒いグルーヴの中にシンセサイザーの音が印象的に響くサウンドに。

「こんばんはceroです!」という高城のあいさつに続いて披露した「マイロストシティー」では、要所要所で大合唱が発生。観客たちもこの小さなライブハウスで彼らのライブを目にしていることを存分に楽しんでいる様子。彼らの標榜する“エキゾチカ”を存分に感じられるナンバーで、フロアはものすごい盛り上がりに。

「Yellow Magus」では一転、メロウかつアーバンなサウンドを展開。アレンジはアルバムからさらにヒップホップ色の強いビートとなった印象を受けるものの、それを見事なまでにポップな形でアウトプットすることで、実に心地良いサウンドを展開していく。

MCでは、高城が「今日はこんな夜分遅くにお集まりいただいてありがとうございます。本当は昨年も出る予定だったんだけど、橋本君がインフルエンザにかかっちゃって。ことしも呼んでくれてうれしく思います!」と、イベントへの感謝を口にする。

【写真を見る】ceroの高城晶平は、オールナイトイベントでの失敗談を告白


さらに、「次の曲は、サンプラーから荒内君のお母さんの声が出ます」(高城)という案内から「Elephant Ghost」へ。高城のフルートも冴え渡り、派手なパーカッションにキーボード、スクラッチ音まで、多彩な音色がスリリングにせめぎ合う。

ある種“多国籍”なようでいて、反面どこにも属さないという“無国籍”なこのサウンドは彼らならでは。むしろその「ごった煮感」が実に“トーキョー”らしくもあり、まさに「東京から世界の音楽シーンへ」という同イベントのコンセプトにふさわしいものに。

その後披露された新曲“予期せぬ”は、アーバンかつシンプルなビートに合わせて夜遊びにいそしむ人々の情景を歌った、このシチュエーションにピッタリのナンバー。高城は自身の夜遊びでの失敗エピソードを明かしつつ、そうした体験も歌詞に生かされていることを匂わせる。

それに続く新曲は、女性コーラスと高城の掛け合いという、これまであまり見られなかったテイストの歌メロに。時折ポリリズム的な展開があったりと、ジャズ的なアプローチも感じさせる。

終盤には、昨年末シングルとしてリリースされた「街の報せ」も披露。思わずJ Dillaなど、ネオソウルやヒップホップ的なニュアンスを感じさせるややモタり気味のリズムに乗せて、街に生きる人々の営みを歌ったナンバーに、観客も思い思いに体を揺らしていく。

「最後にもう一曲だけやって帰ります」(高城)という言葉と共に、ライブを締めくくったのは「大停電の夜に」。この日はフルートのみの演奏だった高城がおもむろにギターを奏でるなど、ダブを彷彿とするまったりとしたサウンドでフロアを包み込み、圧倒的なサウンドスケープで観客を酔わせた。