舞台「魔法使いの約束」丘山晴己&矢田悠祐インタビュー!「まずは役者が魔法を信じる」

2021/04/23 19:00 配信

2.5次元

「まほやく」は一筋縄ではいかないファンタジー

――お2人は、「魔法使いの約束」という作品自体にどんな印象をお持ちですか?

丘山 小説並みに細かなディテールに長けているというのが、まず一つの印象で魅力だと思います。1人のキャラクターでまた1本ストーリーができちゃうくらい、深いですよね! それぞれの魔法使いにストーリーがあって、しかもオズは約2000年、ファウストは約400年も生きている。だったら2人には400年分の関わりがどこかであって、普通では思い付かないくらいのヒストリーをシェアできているんじゃないかな。そのくらい深い作品だというのが印象的でした。

矢田 魔法使いと聞くと一見ファンタジーでハッピーな世界なのかなと思いがちですが、21章まで読んで、意外とそれだけではないのが印象的でした。現実では起こりがちな、人間と人間の対立だったり、自分と違う者を排除していく動きだったり…そういう毒の部分もあって、一筋縄なファンタジーではないなという印象でした。

丘山 それはありますよね。「魔法を使われたら困ることもあるよ」という一面もあって、リアルなストーリーでした。

――それでは、オズとファウスト、それぞれのキャラクターをどのように捉えていらっしゃいますか?

丘山 これからもっと深めていきますが、現時点での僕の認識で言うと、オズは最強で物静か、余計なことはあまり言わない。でも、その裏に何があるのか。ただ単にクールなキャラクターというだけじゃなくて、なぜ最強なのかという理由やバックグラウンドを見つけることが、役作りになるんじゃないかなって思います。

僕自身、普段は“陽キャラ”なんですけど、実際に演じる役はこういうキャラが多いんですよね(笑)。知的だったり、半分神様だったり、神様だったり…。ボソッとしか喋らず、その一言が論理的みたいな役が多いんです(笑)。喋らなければ、そういう風に見えるのかな。電車の中で僕を見たら、そっち系に見えるんだと思う(笑)。口を開いた瞬間「あ~、なるほどね」って感じなんでしょうね。

オズ:丘山晴己(C)coly/舞台まほやく製作委員会

――一方のファウストはいかがでしょうか。

矢田 「陰気で人が嫌いな呪い屋」という、それだけ見るとネガティブなワードばかりですが、彼には彼なりに、人間に裏切られたという過去があるんですよね。僕の中では、人の気持ちが分かる、優しい人だなという印象です。優しいがゆえに人の心が分かるから、自分も傷付いたんだろうな、という。だから今はそういう振る舞いをしているんだろうという認識です。

役作りも、周りとの関係性で見せていくことになると思います。優しさを見せるなら、ヒースクリフ(加藤大悟)がいますし。あとは、バックグラウンドが分かる膨大なテキストもあるので、それを理解して自分の中に落とし込めば、おのずとできることはいろいろあると思います。

ファウスト:矢田悠祐(C)coly/舞台まほやく製作委員会

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