――魔法使いたちが使う魔法を、どのような演出で表現するかも気になるところですが…。
丘山 どうするも何も、出せますからね。演出とか、ちょっと分からない(笑)。
矢田 理解に時間がかかりましたね(笑)。
丘山 本物の魔法しか使えないので!
――おっと、愚問でした…!
矢田 (笑)。でも演出のほさか(よう)さんは「細かい世界観に矛盾がないように」とおっしゃっていたので。緻密に作られていくんじゃないかなと思います。
――魔法に限らずですが、現実にないものを観客に“ある”と思わせる没入感や説得力を作るのは、とても難しいことのように思います。
丘山 それもさっき言ったことと同じで、役者が嘘だと思っていたら嘘になっちゃうんですよ。役者が信じるエネルギー自体がもう、演技という魔法なので。魔法も、「出している」と本気で思っていなければ、ただの形になってしまうと思うんですよ。それはお客さんにも伝わっちゃう。ここが舞台の魅力でもあり、怖いところでもありますよね。
矢田 本編中でも、「魔法を使うには心と自然を繋げることだ」と言われていますからね。まずは僕たちが信じないと。
丘山 それをどう見せるかは演出の方たちによります。だから、役者としては信じるのみ!
――オズとファウストはいずれも各国の先生役を務めています。お2人は後輩や年下の共演者とどう接するタイプですか?
矢田 まさに、同じ東の国のヒースクリフを演じる加藤くんが「今回で舞台に出演するのが2作目なんです」と言っていましたね。「本当に先生みたいに思ってくれていいから、困ったときは何でも言ってな」とは言いました。手助けしてあげられるところはしようと思っていますが、僕は自分からどうこうすることはないですね。主演をやらせていただくときも、ガツガツ言うことはなくて。口で言うよりも、本気でやっている姿を見せた方がいいかなって。
丘山 僕はずっとアメリカで生活していたので、先輩後輩っていうのがあんまりなかったんですよ。日本に帰ってきて3、4年経って、“先輩後輩“があるのを感じつつも、「先輩は何しても怒られない」っていうのがめちゃくちゃ面白いじゃん、何してんの、日本!って思ったんですよ(笑)。何てワケが分からないんだろう!って。真面目な話でいうと、僕も基本的に「後輩に何とかしてあげよう」っていうのはしません。教えもしない、悪かったら悪いままで放っておく。教えてほしいなら教えるし。
矢田 そうですね、うん。
丘山 僕が悪いと思っても、彼の中ではいいと思っているかもしれないし、それは役者としてリスペクトしなければいけませんからね。ダメ出しをするのは演出の仕事。アメリカにいたときもそうでした。「役者同士でダメ出しをしてはいけない」というのはマストなルールで、ダンスも同じこと。そういうルールで生きてきたので、今も変わりません。
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