また、次の「幸せな母親」について剛力は「ひとつのアングルでいろんなお母さん、女性が出てくるモノクロフィルムなんですけど、子供に対していろいろな苦しさと強さが描かれていく中で、最後が本当に印象的だったんですよ。ここまで映すんだ! と驚いて。これは演じる側として見てしまったところもあります。女優としても、女性としてもすごく考えさせられました」とコメント。
それを受けてLiLiCo、「母になりたいという方はいっぱいいて、私もそうなんですけど、どこかで年齢の問題とか…主人(小田井涼平)と話し合って『妊活はやめよう』と大きな決断をしたんです。それもつらかったんですけど、この作品を見たときに『やっぱりもう一回何か考えたい!』という気持ちになりました。やっぱりひとりずつ、母という存在に対する考えってこれだけ違うんだなってあらためて思いましたし、一昔前の話なので性教育が行き届いてないところがあって、それで悩んでる人もいるんでしょうね」と語った。
性教育つながりで、続いて「プレー停止」を挙げたLiLiCoは「女の子が1人だけのチームのサッカー選手が主人公で。私もああいう人だったんです、だからこんなになったんですけど(笑)」と明かし、「日本は性教育に対して遅れてるところあって、私もすごい頑張ってるけど、それはもう遠いからしょうがないところがある。けど、こうやって知っていくってくことが大事だなと思って。『Ladies for Cinema』は、女性が作った視点を女性だけじゃなく、男性に見てもらいたい、そういうことを考えてほしいという側面もあります」とコメント。
剛力も「知るときに、こうやってエンターテイメントから入るっていうのは見やすくていいですよね。一緒に見て話し合える、すごくいい作品」と同調。「知ること、そして“知らないことを恥じない”ことが大事。勉強したいです」「私もこのプロジェクトに携わらせていただくようになって、より多くの作品を見るようになったんですが、他の場面でも、自分の人生の選択肢が増えていると感じることが増えました」と語った。
LiLiCoは「長編もすばらしいけど、ショートフィルムは、数分の間に人間の考え方を変える…というか、もう1個の考え方を持つ大切さを教えてくれます。たった数分の間に、名前も知らない国の文化や決まり、匂いまで流れてきて、旅ができちゃう感じがする。例えばオンライン英会話詐欺にハマる母親を描いた『メロディの旋律』とか、知らないのに“分かる”ってなるんですよね」と語り、剛力と共に「崩壊しそうになってる家族に見てほしい」とアピール。
さらに、剛力は「今までは、お話をいただいてからの参加でしたが、最近は、企画段階から入って発案していく形で何かを作っていけるんじゃないかと思った」そうで、「今は新型コロナ禍で状況的に難しいけど、エンターテイメントは人の心を癒やすものだと思うから、やっぱり発信し続けたいですね。自ら立ち上がって、勇気を持って立ち上がる人を増やせるような人になれたらいいなと思います」と意気込みを。
日本が古代から築き上げてきた美の歴史と、そこで活躍した女性クリエイターを1時間で学べる「令和3年度日本博主催・共催型プロジェクト Discover Beautyシンポジウム」についても紹介した二人は、「今は新型コロナ禍で大変ですけど、コロナ禍だからできることもある」「出かけられない今年こそ心の中を変えられるチャンス」「SSFFも会場でも上映しますけど、ちょっとした隙間にオンラインでぜひ楽しんでほしい。そして、感染症対策をしっかりした映画館を開いてほしいです」と声をそろえた。
世界の女性フィルムメーカーの作品を特集する「Ladies for Cinema Project」は、SSFF & ASIA2021オンライン会場にて、本日より配信開始。「令和3年度日本博主催・共催型プロジェクト Discover Beautyシンポジウム」は、6月15日(火)に、SSFF&ASIA YouTubeチャンネルにて配信。
◆取材・文=坂戸希和美