――今までの出演作品の中で、俳優としての考え方やお芝居のスタンスが変わった作品はありますか?
18歳のときに出演した廣木隆一監督の「M」(2007年)という作品です。当時の僕はまだ高校生で、地元と東京を往復しながら撮影していた作品なのですが、廣木監督から「(演じるのではなく、その人物として)ちゃんと、その場にいなさい」と言われたことが心に残っています。あとは「多十郎殉愛記」(2019年)で中島貞夫監督と出会えたことは大きかったです。中島監督は言葉数が多いわけではないのに雄弁な方で、たくさん話さなくても一言で相手に伝わるというのは憧れます。
――それこそ若い頃の高良さんは尖った役を多く演じていたように思うのですが、年齢を重ねるごとに役の幅を広げることを意識しているのでしょうか?
10代後半から20代の中頃までは、正直「俺がやる必要はないでしょ」と思ったり、「この役はあまり好きじゃないな」と感じたりすることもありました。でも、今は「このセリフ一行を言ってみたい」とか、逆に「自分に向いてないから」とか、そういう理由で選ぶこともあります。
――それはどういったところから変わってきたのでしょうか?
映画館に人を呼ぶのは難しいと実感したからです。そのためには俳優としての知名度が必要だし、テレビに出ることも大切なのかなと。もちろん、テレビを利用するとかではなく、テレビにも挑戦したいという気持ちが出てきたこともあって、今に至っています。
――現在33歳。高良さん的に、そういった考えはこれからも変わっていくと思いますか?
変わります。というか変わっていかないといけないと思っています。
取材・文=馬場英美
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