――今回、コロナ禍での創作活動となり、何か変化はありましたでしょうか?
作品に大きな変化は特にないと思うんですけど、何を描けばいいのかわからなくなってる時に緊急事態宣言などでいろんなことやものが止まって、「今止まってるのって私だけじゃないんだ」と少し気が楽になって、また描き始めることができました。コロナは憎いですが。
――コロナの影響で、より生死を身近に感じ人とのつながりも恋しくなるということもあってか、このタイミングで前作を改めて読み返すと響く部分が変わってくるように感じます。特に「毎日嫌なニュースばかりだね」と幼いシカノが泣いてしまう部分などが刺さりました。
私の漫画の中にコロナは存在しませんが、コロナ禍だからこそ描いたものはいくつかあります。
Twitterにシカノ(死なない彼女)が手洗いしているイラストをあげた時に「シカノちゃんが頑張ってるから私も頑張る」というようなことを言われた時はすごく嬉しかったです。それをきいて私も頑張ろうと思えました。
――この作品では、「いつになったら私を殺してくれる?」「私なんかを好きにならないあなたが好き」など恋愛や生死にまつわる鋭いセリフが多くありますが、共通して「自己愛」「自己肯定感」といった部分がキーワードになってくるように感じました。
私は自己肯定感が高い人間ではないので、漫画を描いてなんとか自分を肯定しているんだと思います。
こういった題材は誰かを救えることもあれば、必ず誰かを傷つけてしまうものでもあるので、見てもらうのは緊張しますが、きっと描かなければ私は自分を否定していました。
――自分のことを好きになれない、自己肯定感が低い、という悩みを抱えている人へのメッセージをお願いできますでしょうか?
自分のことを好きになれない人はまず人に思いきり愛されてほしいと思います。愛されてると感じた時に、人は自分のことを好きになれると思うので。
じゃあどうやったら愛されるのって話になるかと思うんですけど、私はそういう人に「愛してるよ」と伝えたくて、本を出してるというか、出させてもらってるという気持ちがあります。届いていたら嬉しいです。
――1巻刊行の際は「悲しい経験をした人たちに寄り添うマンガが描きたい」と仰っていましたが、今回はいかがでしょうか。読者に伝えたいメッセージに変化はありましたか?
今回が3冊目の書籍刊行となります。1冊目の「殺さない彼と死なない彼女」は“生きてほしい”、2冊目の「さよならバイバイ、大好きだったよ」は“幸せでいてほしい”というメッセージを込めて執筆していました。そして、今回の「殺さない彼と死なない彼女 After」には、“愛してる”という気持ちを1番に込めています。
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