――今回、長瀬智也さんと仕事をされて、改めて感じたことはありますか?
磯山:年齢を重ねて知識と経験が増え、本当に何でも知っているし、よく調べているなと思いました。企画段階でプロレスラーの役と決めた時から、長瀬くんは自分でもハードルが高いと思っていたはずですが、でも、この設定が面白いからやらざるを得なかったのだと(笑)。
体作りでは苦労していましたね。太りにくい体質らしく、とにかく1日6食取るとかいろんな手を使って体重を12~13kg増やし、85kgぐらいまでいったはず。ロバート・デニーロか!みたいな感じで(笑)。クランクインの直後はいつもより大きい体になっているし、とにかく気合が入っていたので怖いような感じもしました。
勝野:私は長瀬さんと仕事したのが初めてだったので最初は本当にプロレスラーのようで、ちょっと話しかけづらいオーラがあったんですが、ドラマの中で寿一がプロレスに懸けている段階を過ぎると、だんだん優しくなってきて。最後はみんなのお兄ちゃんみたいな感じの人になりました。
――さくらや元妻のユカ(平岩紙)が、寿一に「殺気を放っていて怖い」と言っていましたが、あれは磯山さんたち女性陣から見た長瀬さんの印象が反映されていたのでしょうか?
磯山:一応、宮藤さんにそんな話はしました。とにかく長瀬くんは相当な意気込みで現場入りしていたと思います。第1話の仕上がりを見て、だいぶ安心した感じがしましたが、それまでは本当にピリピリ。一球入魂という感じでした。
あと万が一ケガをしてしまうと撮影が止まるので、その部分も気にしていました。自分の体をそこまで作ったのは、プロレスの場面でどうしても代役はいやだったとか、いろいろ理由はあると思うんですけど。そこまで仕上げてからさらに、人間ドラマとして素晴らしい芝居をしてくれたので、彼ひとりですごいことをやってのけたと思います。
――長瀬さんはもともとプロレスが好きだったそうですね。
磯山:いろんなレスラーを研究していましたね。例えば長瀬くんから「両手をポケットに突っ込んだまま試合している人がいる」と、たくさん動画が送られてくるんです。「これは何の参考にすればいいのかな?」と宮藤さんに相談すると「僕のところにも同じ動画が来ました」みたいな(笑)。研究が私たちより先に行ってしまっている。それを共有して掘り下げたいという気持ちが強かったみたいですね。
能については初めて学ぶことが多かったみたいで、先生の説明を全部、バンドの演奏に落とし込んで理解していました。「囃子方との息の合わせ方はバンドと一緒ですね」という感じで…。
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