――後半、意識不明になった寿三郎に寿一が呼び掛ける場面や、最終話の父子のやり取りなど、感動的なシーンもありました。
磯山:やはり長瀬くんと西田さんだからできたことがたくさんありましたね。あの2人、お互いのことがすごく好きなんですよ。長瀬くんは西田さんに龍の柄のついた杖をプレゼントしていました。自分は同じデザインで虎の杖を持っているらしく、「タイガー&ドラゴン」のペアステッキだと。西田さんがその杖をずっと肌身離さず持っていて「付き合っているの?」みたいな(笑)。
でも、直接はそんなにしゃべらないんですよね。他愛ない雑談はするけれど、「君の演技は素晴らしかった」というようなことを言い合わない。LINEで西田さんが長瀬くんを褒めているので、私が長瀬くんに「西田さんがこう言っていたよ」と伝えたりして。もう、直接話してもらっていいですかって感じです(笑)。
――西田さんは長瀬さんをどう褒めていたのでしょうか。
磯山:「長瀬くんがプロレスしているカットを見るだけで涙が出る」とおっしゃっていました。長瀬くんの覚悟がすごく伝わってくると。西田さんは最初から「このドラマはぜったい傑作になる」と言ってくださって、そういう気持ちで演じているのがみんなにも伝わっていました。今も「『俺の家の話』ロスです」というLINEをいただきます。
――磯山さんのプロデュース作品で、長瀬さんと西田さんが共演するのは3回目ですが、実際にはどんなふうに演技をしているのでしょうか。
磯山:どちらかがうまくセリフを落とし込めてないとか、シーン的にもっといい方法があるんじゃないかと思っているときは、絶対に本番を急いでやらない。相手が何か引っ掛かっているなと気づくんですね。
逆にうまくハマると、アドリブでいくらでもしゃべっちゃう。本当に音楽のセッションのような感じ。2人とも「本番で生まれるものをぶつけないと面白くない」と思っているんじゃないかな。西田さんはそういうやり取りにおいて、誰よりも長瀬くんが一番合うんですよね。
――今回、長瀬さんは主演男優賞も獲得しました。改めて、“長瀬智也”とはどんな人でしょうか?
勝野:なかなか表現しづらいんですけど、ひと言で言うなら「超スター」という感じです。何でも出来てしまう、まさにスーパースター。またいつかお仕事できたらうれしいです。
磯山:俳優としてはとにかく弱みがないですよね。なんでもできるし、本番は一発で決めるし、誰よりも上手い。今回は42歳の役でしたが、50歳、60歳の長瀬くんも見てみたい。心からそう思っています。
(取材・文=小田慶子)
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)