高畑淳子が演じる美咲(篠原)の母親・美津子は、生きる目的を失い、自暴自棄で娘に当たり散らす“毒母”。この母と娘の愛憎混じった対立について、美咲の親友・香織を演じた倉科は「“ゴジラ対なんとか”みたいな感じで、怪演と怪演が対決していてすごいんです!」とそのすさまじさを表現。
撮影を思い出し、篠原は「本当につらかったんです。のちに円形脱毛症にもなってしまって」と明かし、「コロナ禍の中での撮影でしたので、スタッフさんや共演者の方と終わってから『ちょっとご飯に行こう』とか『お酒を飲んで』とか、そういうのもなかったんです。役から離れる時間が本当にないまま、1カ月弱、美咲のまんま群馬の富岡で暮らしていたので…」とコロナの影響で気持ちの切り替えができなかったと語った。
「高畑さんはいつもフレンドリーで優しい方なんです。でも、撮影の後半になると、私と美咲の境界線があいまいになってきて、高畑さんと美津子の境界線もあいまいに感じるようになってしまって、高畑さんがいつものように『これって、こうよね?』って質問してくださった時に『怖い!』『責められてる!』って思って泣いちゃったんです(笑)」というエピソードからも精神的に追い込まれていたことが分かる。
倉科が演じる親友の香織は心にちょっと闇を抱えている女性。倉科も役作りを徹底していて、篠原が「親友役だし、飲めたらいいなと思って誘ったら、この笑顔で『やめときましょう!』って言われました(笑)」と暴露すると、倉科は「すっごく行きたかったんですよ。私、お酒も好きですし。でも、そうするとすぐに仲良くなっちゃうので、『この作品はダメだぞ!』って思って」と断った理由を説明。
主演の篠原をはじめ、キャスト全員が心身ともにストイックになり、体当たりの演技で臨んだからこそ出来上がった作品だと言える。
最後は、篠原が涙をこらえながら「今、コロナ禍で、本当にこの作品も(6月1日に)公開できるのか分からない状況で…。もっとシビアにこの先が分からない人がいっぱいいると思うんですけど、もしかしたら明日はいいことがあるかもしれないし…。私もこんなすてきな所に立たせていただけるとは思ってなかった人生でしたので、どうか生きていってほしいと思います。よかったら劇場で『女たち』をご覧になってください」と力強いメッセージを届け、締めくくった。
映画「女たち」は6月1日(火)より、TOHOシネマズ シャンテ他全国公開。
◆取材・文・撮影=田中隆信
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