7人組男性ヒップホップグループ、BTSが5月21日、新曲リリースを記念したグローバル記者会見を開催。この日13時に全世界で同時発売されたデジタルニューシングル「Butter」について語った。
BTSの優しさとカリスマ性を同時に感じられる新曲「Butter」は、爽やかで中毒性の強い、ダンスポップベースの楽しいサマーソング。2020年8月21日に発売され全世界に旋風を巻き起こしたデジタルシングル「Dynamite」に続く全編英語詞の第2弾となっている。
「昨年のBE懇談会から6カ月ぶりに直接お会いできて本当にうれしい。誠心誠意記者懇談会に挑みたいと思います」と真面目に挨拶したリーダーのRM。最近は「『Butter』の練習とフェスタの準備をしながら忙しくも楽しく過ごしてました。友達に会ったり、運動したり、自転車に乗ったり」していたそうで、「自転車はどこで?」と問われると「漢江(ハンガン)とか」とプライベートを明かした。
新曲では歌詞とラップの製作にも参加。「製作に関わった僕やSUGAさんJ-HOPEさんのキャラクターが異なっているので、それを活かそうと集中して作曲に参加しました。僕が知ってる限りでは、ブラインド(コンペティション)を経てこの曲を選んだと聴きましたが、完成度が最初から高かったので、そんなに参加するところがなく。でもラップパートのみちょっと僕たちと合わないところがあったので、僕たちのスタイルに変えさせてもらうという形で参加させてもらいました」と経緯を説明した。
母語でない英語曲ならではのエピソードを問われたRMは、「英語のできる僕とJ-HOPEさんとSUGAさんで挑みましたが、BTSの製作の現場はわりと血も涙もない決定が行われるので(笑)、一部しか採用されず“脱落”しました。最終的には僕のラップを元にまたアレンジしてもらう形で…でもこういう形でも参加できて光栄で、楽しい経験でした」と告白。生き残った部分について「最後にJ-HOPEさんと僕が呼吸する部分は残りました。SUGAさんとやりとりする部分の半分も。ラップパートの半分くらいは元の形から修正したり加えたりしたものだと考えてください」と付け加え、SUGAも「僕も英語頑張ったんですけど、あまり採用されませんでした。本当に血も涙もないです」と笑顔で“競合”状態を明かした。
一方、「デビュー当時、スタッフに誰が誰だか見分けられるよう(MV撮影や音楽番組のリハーサルで)ゼッケンをつけていて、早くそれぞれの名前を覚えてくれたらすごいとおっしゃっていましたが、今はグループだけでなく個々人も世界中で認識されるようになったことについて感想を」との質問には「僕ら個々人の名前を覚えてくださっていてすごく光栄ですし、スタッフの方々も見分けてくださいますが、でも今もゼッケンをつけて踊っています。これからもそうします。知らない方もいると思うので(笑)」とフランクに語り、「初心を忘れないBTSでした」とまとめたRM。
「K-POP」というカテゴライズについては「僕が考えるには、音楽だけじゃなくいろんな芸術の創作はすべて、プロセスの中にいると分からないけど、過ぎてからこれはそうだったのかと評価されたり討論されたりするものだと思います。僕らは8年目の今も進行中のプロジェクトなので、K-POPの概念もどんどん拡張されていますし、僕らの曲がK-POPとしてカテゴライズされるかどうかは、僕らが最善を尽くした後に、後日評価されるのではないかと思います」と歴史的俯瞰で回答。
最近メンバー間で盛り上がっている話題を問われたときも「一番の話題はこれからの未来、僕たちの機能はなにか、何のために存在するのか、グラミー賞とかも大事だけど、一歌手として、どうすれば音楽というジャンルの中で商業的にポジションを得て成果を挙げられるのかずっと考えていました」と真面目に語った。
さらに今の一番の関心事については、「これからの未来、そしてニューノーマルにおける僕らの機能」と回答。「僕たちがなぜ、何のために存在し、音楽を作り、BTSのとしてどういった価値を実現していくべきなのか。賞を獲ることも大事ですが、どういうことを追いかけていけば、僕たちが意味のある産業的なジャンルの中で生き残ることができるのか、何かを残すことができるのかを考えていました」と哲学的にコメント。
BTSの価値についてさらに問われると、JINがBTSの人気について分析した“共感性”を引き合いに、「先程JINさんが付け加えてくれた“同世代の代弁者としての機能”を果たすこととも繋がりますが、僕たちは音楽を作るときは、まず会社と僕らで話をします。今どういう気分でいるのか、どういう情緒を持っているのか、何を話したいのか、興味、イッシューなどをインタビューみたいに。そこで生まれた僕たちがやりたいもの、表現したいものは何なのかと、その反対で人々が僕たちから聞きたいものは何なのか、そのバランスについての悩みがいつもあります。最初の『学校』三部作から最新の『BE』まで、毎回アルバムの企画とタイトル曲、それらは僕たちがその瞬間に下した最善の決断だったと思います」と断言。
「ニューノーマルを迎えて、同じ時代にはどういう価値を求めるべきなのか、それについて僕らは責任が重いと思っています。今は『Butter』として僕たちなりの答えを出しました。次に出てくる答えは、きっと今考えている悩みから辿り着く結論になる。毎回、そのときの僕たちなりのベストの最善を尽くした結果、答えだとお考えくださったらなと思います。今、少しでも近くでお会いできるよういろいろなことを準備しているので楽しみにしていてください」とまとめていた。
◆取材・文=坂戸希和美
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