山田孝之&牧有太Pが見せた映画「ゾッキ」の“裏”「ピエール瀧さんの現場を邪魔されたくなかった」<インタビュー>

映画「裏ゾッキ」について山田孝之、牧有太プロデューサーにインタビュー撮影:金澤正平

竹中直人、山田孝之、齊藤工が監督を務めた映画「ゾッキ」が公開中。その舞台裏に迫ったドキュメンタリー映画「裏ゾッキ」も同時に公開されている。

ゾッキ」の撮影現場で撮られたメーキング映像はもちろん、ロケ地の愛知・蒲郡の市職員らの奮闘も描いたドキュメンタリーとなっている本作。企画を手掛けた山田と、プロデューサーの牧有太氏に話を聞いた。

「ゾッキ」と別部隊で撮っていたからこそできた「裏ゾッキ」


――まずは、映画「裏ゾッキ」の企画が立ち上がったきっかけからお聞かせください。

山田孝之:僕が30歳になった2013年から5年間にわたるドキュメンタリー映画「No Pain, No Gain」を牧さんに撮っていただいたんですけど、それと2019年に僕の初プロデュースで上映された「デイアンドナイト」を交互上映したら、すごく反響が良かったんですよ。映画の完成品とその裏側を同時に見せるということが。

それがあって、今回はあらかじめ「ゾッキ」のメーキングではなく、ドキュメンタリーを撮って、交互上映や僕らが登壇するイベントもやろうということで、牧さんにお願いしました。

牧有太:前回の交互上映のときにもう、またこういう形のことができないかなという話は出始めていたんですよね。登壇イベントでお客さんとの会話が生まれたりするのが、作り手側としてもすごく面白くて。

山田:撮影現場のメーキングではなく、もっと全体的なドキュメンタリーにしたのは良かったですね。僕らのいる現場の外で何が起こっているのか。現場はこんなふうに進行しているけど、その間、蒲郡の役所や商工会議所ではこんな会話がされていたみたいな部分は、「ゾッキ」の現場とは別部隊で「裏ゾッキ」を撮っていたからこそできたことだと思います。

――両方とも見た方が楽しめると思いますが、「裏ゾッキ」だけ見ても成立している作品になっていると思いました。

牧:そう言っていただけると「裏ゾッキ」のプロデューサーとしてはうれしいですね。そこは狙っていましたし、蒲郡の皆さんのご理解があってこそ実現できました。

――さまざまなことを包み隠さず映像として収めていましたね。撮影現場に見物客が集まりすぎて困ってしまったとか、地域の方が怒鳴り込んできたとか。

牧:あそこのシーンを使う許可が出たのは正直うれしかったです(笑)。

山田:映画を作るのって大変だし、きれいなところだけ見せても仕方ないなと思ったんですよ。ネガティブというか、こういうこともあるよっていうのはしっかり見せていかないと。

僕らも地域の人たちと組んでやるにあたって、映画を作るにはこういうこともありますよ、それでも一緒に頑張っていきましょうっていうことを伝えないといけないので、それを映像として見せられたという意味では大事な作品になったと思います。

牧:あんなシーン、絶対に狙っては撮れないですからね(笑)。市が関わっているのにああいうシーンを使えることってなかなかないですよ。市としては隠したい部分もあったでしょうけど、そこも見せていいという全面的な協力のもとで撮影できたのは大きかったです。きちんと隠さず見せることで、作品の面白さは高まるので。

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