――逆に作品を見てから「こんな画が撮れていたのか」と思われたところはありますか?
牧:松田龍平さんと現地のおばあちゃんのやり取りは奇跡的にいい画が撮れていましたね。
山田:おばあちゃんが龍平くんのことを知らずに話しているんですけど、龍平くんもそれを分かっていた上で「新人なので頑張ります」なんて言って遊んでいたり。
牧:いつもパン屋に集まっている人たちの姿も大切なシーンです。あそこには蒲郡の日常があって、その日常の中に「ゾッキ」が飛び込んでくるという変化を描いたのは、監督として素晴らしいなと。
――「ゾッキ」の現場や蒲郡の人たちのドキュメンタリーであると同時に、今なお続くコロナ禍の状況下の映画界にも迫っています。
牧:これまで上映していただいた劇場は、登壇イベントがない回でも連日満員なんですよ。そういう状況を見るとこの映画を作って良かったなと思いますし、“映画館が開いている”ということの大切さを強く感じました。「裏ゾッキ」でも山田さんが映画の必要性を問われたときに「いらないものなんかない。必要とするかどうかは、人それぞれが決めること」とおっしゃっていたのは心強い言葉でした。
山田:映画を上映するかどうかは映画館の判断ですし、さらにそれを見に行くかどうかはお客さん次第ですから。これからも上映館が増えて、制作費を回収できれば「続・ゾッキ」ができるかも知れないなと期待しています。原作コミックのストーリーはまだまだありますから。
取材・文=青木孝司
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