そして高野がVRのゲーム上でサラのバイクを操縦し、自然を壊す人間を悪とみなし徹底的に排除してロボットだけが住む環境を作り上げたゼロが支配する“エデン3”に到着。
サラが“エデン”の謎を追ってゼロに立ち向かっていくこの象徴的な建造物を眺めながら、入江監督は「これは人間のために作られたものなのか? 人間はこの世界に現れた時にどんな対応をしないといけないのかという背景も、この鏡張りの建物に思いが込められていると感じています。(深いテーマが描かれることについて奇しくも)今の世界的なパンデミックの状況が、作品が完成してから物語の出来事とリンクしていることに驚いているのですが、その中で現実世界で人々がどう振る舞うべきか、作った側ではありますが私自身考えさせられたところがあります」と複雑な思いを語った。
「もし連続アニメになるなら、付け加えたかったエピソードはありますか?」と質問を受けた入江監督は「実はこの物語の世界の出来事は、もっと前を含めて長い時間の設定がありました。今回登場しなかった“エデン2”で何が起こったのか、サラが目覚めるためにどういう出来事があったのか、原案であるジャスティン・リーチのテキストに収められているので、映像化は可能ではないかと思っています」と回答。
司会を務めるフリーアナウンサーの笠井信輔から「かわいらしいけれど、勇敢でまっすぐなサラの中にナウシカ(「風の谷のナウシカ」)を感じました。高野さんはどう思いましたか?」と質問を受けた高野は「確かにサラは生き物や無機物であることの概念をあまり持っていないと思いました。ロボットを自分と同じ(人間)と思って接しているだろうし、今の私たち人間が当たり前だと感じていること、別の目線で見ていそうだと思います」と答えた。
ロボットものであるが故に男性の作品と思われがちだが作品のテーマが女性や子どもにも共感するテーマがあることについて氷上は「後半にいくにしたがって、そうなんですよ」と噛みしめるように回答し、伊藤は「僕も4話一気に見させていただいて、久しぶりに自分の出ている作品を見て泣いてしまいました」と父親の立場からも“親子愛”を描いた物語に心を打たれたことを明かした。
娘目線で見ていたという高野は「(サラの家族以外に)もう一つ登場する家族に対しても娘目線で見ていました」と、自分を重ね合わせながら作品を観た時の思いを語る。
世界中のクリエイターとの作業について入江監督は「とても優秀で素晴らしい能力を持った人たちがこの作品に集まっています。色んな人たちと作品を作ることができる選択肢がありチャレンジもある。これから私以外の監督や演出の色んな人たちの道が一気に拡がるのを感じました」とこれからのアニメ制作への期待を語った。
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