「シェフは名探偵」“お節介シェフ”西島秀俊による、おいしくて優しいドラマに心満たされる

2021/05/31 07:00 配信

ドラマ レビュー

「シェフは名探偵」第1話が5月31日(月)に放送される(C)「シェフは名探偵」製作委員会

レビュー

グルメにミステリーが絡む本作。といっても、事件の犯人を突き止めるわけではない。三舟シェフが厨房で料理をしながら、客の言動から悩みや苦しみを読み取り、絶品料理とお節介(?)優しさ(?)で彼らの問題を解きほぐしていく。確かに、店員さんに顔を覚えられていたら嬉しくなるが、この三舟シェフの記憶力はすさまじい。記憶力はいいシェフの条件だそうだ。

そんな三舟シェフたちが作る料理はどれもおいしそうで、美しく撮影されている。「ロニョン・ド・ヴォー」「ナバランダニョー」「プティ・サレ・オ・ランティーユ」などフレンチに詳しくないが、画面から香り立つような品々に思わずお腹が鳴ってしまった。また、音楽は実際にレストラン内で流れているかのような、居心地のよいBGMが使用されていたのも印象的だ。

派手なサスペンス展開はなく、ゆったりとした雰囲気で温かい。物語だけでなく、『パ・マル』の従業員・西島秀俊濱田岳神尾佑石井杏奈らが作り出す家族のような空気感にも癒やされる。劇中で三舟シェフが悩める客たちに出す「ヴァン・ショー(ホットワイン)」を、同じように飲みながらドラマを楽しむのもいいだろう。そして新型コロナの影響で外食を控える状況が続いているが、自粛が緩和されたら『パ・マル』のようなすてきなレストランを探したい。