――では、今回の核心、番組が伝える「大発見」についてお聞かせください。
最大のビッグニュースは、撮影しようと追い掛けたヨコヅナイワシ本人を捕獲してしまった、ということです。捕獲しようと出掛けたわけじゃないんですよ。あくまで撮影プロジェクト。ただ、撮影するにも、ヨコヅナイワシに出会うためには情報を集めないといけない。それで、専門がはえ縄漁の長谷川さんが、底はえ縄という仕掛けをしました。針が240本もついた仕掛けを深海2000メートルまで落とすんです。
そこに掛かってきた生き物から、もしかしたらヨコヅナイワシが食べている物だとか、ヨコヅナイワシ発見につながる手掛かりを得られたらいいなと、補足的な意味合いで下ろしていたんですね。カメラを回収しに行くときに、それを引き上げていったら、そこに付いていたという。これは本当にびっくり、あまりにもドラマチックでした。
240本の針を上げていったんですが、全然魚が掛かっていなかったんですよね。ビニール袋のゴミばっかり。長谷川さんもこんなことは珍しい、今日は大外れだねと言ってたんです。
残り30本くらいになって、誰もが諦めていた「まさにその時!」、ボーンッとヨコヅナイワシが浮かび上がってきたんです。
僕は仕掛けが流れている方向の真上から、船の上からずっとのぞいてたんですよ。上がってくると、まず僕の下に現れまして、明らかに青く光るものが上がってきたんですね。青く光っている時点で、これは大変なことが起きたな、という思いが頭の中にあったんですけど、驚き過ぎて声が出なかったですね。
オンエアにも乗っていると思うんですけど、長谷川さんだけが絶叫し、スタッフ含め、誰もが無言になるという(笑)、不思議な3分間が繰り広げられまして。僕も解説という立場を忘れ、気の利いたことを何も言えないんですね。「ホントにいるんだ」とかつぶやいていて、ベタベタ触ってたりして、触ってるんだけど実感が無かったですね。
ヨコヅナイワシの新種登録から2カ月後、目の前に本人がいるというこの衝撃はやっぱりただごとではなくて、探しに行ったからといって出会えるものじゃない。人類の歴史、何百年という深海調査の歴史の中で見つかっていなかったものが見つかり、捕獲できてしまうという、それはやっぱりすごいことだなと思いました。
もちろん、長谷川さんがご経験と勘から導き出したポイントで、仕掛けも今回のために工夫されていたので、それによって導いた奇跡だと思うんですけど、そこに深海WANTEDチームの情熱とか、いろんなものが入った上での奇跡だったのではないかなと思います。
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