――ヨコヅナイワシについて教えてください。
ヨコヅナイワシが今年1月に新種登録されたというニュースが出たとき、僕はすごくびっくりするとともに、思った以上に世間が騒いだことがうれしかったんですね。これまでもダイオウイカ発見とか、デメニギスっていう頭が透明なコックピットみたいになった深海魚の世界初の撮影の時とか、ニュースにも取り上げられ、深海にあまり興味が無い人の間にも知れわたったことがありましたけど、今回のヨコヅナイワシは比較的地味なニュースで終わるのかなと思っていたんです。それが、かなりの人が知るニュースになって広がったのがすごくうれしくて。
ヨコヅナイワシという名前も面白くて、セキトリイワシが元々いまして、30~40センチメートルの魚、それでも結構大きいんですけど、それの仲間で過去見たことがなく、DNAを調べても違ったということで別種、セキトリの大きいものだから、オオゼキを飛び越えてヨコヅナになったんですよね。オオゼキはどうしたの?ということはありますけど、いい名前ですよね。いきなり、ヨコヅナと付けたのはなかなか思い切ったなと思います。今後もっと大きなのが取れちゃったら、もうオヤカタしか残っていないですね(笑)。その名前もネットを騒がせた理由だったのかなと思います。
ヨコヅナイワシというのは、いろんな意味を含んだ魚だと思うんです。この科学の進んだ時代に、人間が深海調査をいろいろとやっている中で、今の今までこの巨体が人目に触れなかったということにまず驚きます。
ということはそれだけ深海はまだ分かっていないことが多く、大きければ見つかるというものでもない、本当にロマンにあふれた内なる未知の世界なんだということをすごく痛感したという観点から、ヨコヅナイワシの新種登録には意味があったと思うんです。
新種登録されたばかりで、番組で捕獲されたのが世界で6体目。6体くらいだと分からないことばかりでね。栄養分析で、ピラミッドの頂点にいるトップ・プレデターと言われる存在だとか、そういうことは分かってきているんですけど、どうやって繁殖しているかも分からないし、大きいのしか見つかっていないので、幼魚はどうしているのかとか、分からないことも多いんです。
この6体目が、東京大学とJAMSTEC(ジャムステック)に送られると思うんですけど、一歩先の研究に進む、大きな手掛かりとなるんじゃないでしょうか。
――もう一つの海、沖縄の海の注目の生き物を教えてください。
注目…どれに注目すべきか悩みます。正直言って全部注目なんです。こんなに!というくらい新種というか、日本未記載の種類が次々と現れたんです。海外では見つかっているけど日本ではまだだろうっていうものとか、そもそも海外の記録すら見たことが無いとか、そういうものがほとんどだったんですよ。調査している誰かが知っていて解説できる生き物がほとんど出てこないという、すごい世界でした。
はっきりと種類が分かったものの中ではウラシマチョウチョウウオ。美しい黄色で、斜めに入っている黒い帯がカッコいいチョウチョウウオですけど、これが撮影出来たのはすごい大きなことだと思います。
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