一方「ナイトウォーカー」は、作曲は小川、作詞が片岡。艶やかでメロウなラブソングだ。
小川貴之「先に『Shake & Shake』ができあがって、もう一サイドに何を入れるかという話になったときに、こういったテンポの曲で、というやんわりとした到達点が出てきて。それで僕がこういう曲が得意だったので狙い撃ちで作っていきました。元は、ドライブをきっかけに恋したいなって思ったんです(笑)。そのテーマを見つけた瞬間、サックスのメロディーやコーラスの感じがおりてきて。それで骨組みを片岡さんに伝えたら、『面白い』って言ってくれて、自分でドライブに行って、世の中でドライブで恋は始まっているのかっていうのを実際見てきてくれたっていう(笑)」
片岡「3日間車に乗りながら他の車の中をジロジロ見るっていう市場調査に行ったんですけど、ソロドライバーが多くて(笑)。歩道を見たらカップルがちゃんといて、ここにリアルがあるって思って、何組かぼーっと見てましたね。小川君が曲を作った経緯も聞いていたので、ちょっと背伸びした感じがある方がリアルだなって気がして。『Shake & Shake』はフィクション感があるので、『ナイトウォーカー』は対比として、歌詞もノンフィクションにしたいなって思いました。だからこそ自分の体験を引っ張り出してくるよりも、誰かの今のノンフィクションにしたいと思ったんです。その方向で書ききったのは久しぶりかもしれないです」
黒田「聞いたときに『大人の曲』っていう印象があって。それで自分の中の大人な要素を探しながら、ギターを弾かせていただきました。リズムの取り方がこれまでと違ったので、ギターも新しい挑戦として色々試行錯誤しました。それでみんなも良いって言ってくれたので、『よし!』みたいな」
小川「音から感じられる年齢感はちょっと上がっていると思います。ここまで落ち着いてるアーバンな感じは、今までのsumikaにはなかった曲ができたのかなって思います」
荒井「sumikaの対照的な武器の2曲が入ったシングルになった気がします。お互いが引き立たせ合う素晴らしいバランスだなと」
片岡「過去作からひも解いても、一回表みたいなのができたら一回の裏を作りたくなるみたいなところがあります(笑)。一面知ってもらえたら、違う面も知ってもらえたらもっと楽しいのになって思うので、多面体であることを伝えないと気が済まない癖がここ数年ずっとあって(笑)。バラバラの曲があって、『本当に全部同じバンドなのかな?』と思われるのはすごくいいことだと思うんです。
いろんな表現をするのが、自分が自然体で音楽をやれる秘訣だったりするのかなって思ったりします」
取材・文=小松香里
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