これまでドラマや映画などで、さまざまなキャラクターを変幻自在に演じてきた菅田。本作では、役作りのために自身の髪の毛を巨大なアフロヘアーにチェンジし、言葉だけでストーリーを展開させていく難役に挑戦する。
菅田演じる主人公・久能整(くのう・ととのう)は、天然パーマにコンプレックスを持ち、友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生。
社会で「当たり前のこと」として流されていることに常に疑問を持ち、とことん考え抜く性格で、膨大な知識と独自の価値観による持論をあざやかに展開していく。たとえ周囲で何が起きていようとも喋らずにはいられないため、「うざい、面倒くさい」と言われ続けて生きてきた青年という役どころだ。
そんな整はある日、身に覚えのない殺人事件の容疑をかけられる。刑事たちから取り調べを受ける中、整は事件の裏に隠されたヒントや、刑事たちが抱えている悩みの存在に気づいていく。
そして、特に「事件を解決したい」という思いはないまま、ただただ思いつくことをマイペースに話すうちに、いつのまにか事件の謎だけでなく、人の心まで解きほぐしてしまう。
ミステリーと会話劇を融合させた本作の見どころは、「僕は常々思ってるんですけど…」という語り出しで始まる整の言葉の数々。当人は言いたいことを言っているだけで、それは単なる屁理屈のようにも聞こえるが、既成概念に縛られて苦しんでいる人にとっては勇気を与えてくれる救いの言葉となっていく。
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