ラジオパーソナリティーになったTVプロデューサー佐久間宣行氏が語る“フリートーク”「しゃべり手というよりも“深夜ラジオリスナー”の気持ちの方が強い」

2021/06/29 07:00 配信

芸能一般 インタビュー

佐久間宣行氏

「俺にしかできない話だろうな」と思った“退職願を出す話”


――毎週の放送に必ずあるフリートークですが、ネタで困った時とかはなかったんですか?

あります。本当に何にも起きてないなっていうことが、この前(6月2日放送)だってそうですよ。火曜日の夜の時点で、面白事件は何も起きてないなって思って、唯一仕事以外でやったこと何かなって考えたら、“青春高校”の子たちがやった初めてのコントライブを観に行ったなって。

でも、ちょっと真面目過ぎる話だからフリートークにはならないかなって思っていたんですけど、思い返してみたら15分くらいの構成になって。それで作家の福田(卓也氏)に話してみたら「それ全然いいですよ」「聞きたい話になりますよ」と。それ以外にも、昔の小っちゃい話を用意してたんですけど、「今の話にした方がいいんじゃないですか?」って言われて。そんなことは結構ありますね。

ギリギリまで「これはちゃんと自分の身に起きた面白いことだな」って思えることと、自信なくて「こんな話していいのかな?」って思うことを持って行って、「大丈夫です」って言われたりするっていう。その繰り返しだから、フリートークの話が「はい、できました」ってときはないですね。

――以前の放送で、月曜日の会議で話してみるってことも言ってましたよね。

というより、それは語弊があって、元々「ゴッドタン」の会議って雑談を30分くらいしゃべるんですよ。俺もオークラさんも作家の相澤(昇)さんも「ちょっと聞いてくださいよ」みたいな。それをやってエンジンを温めるんですよね。みんなでゲラゲラ笑いながらしゃべって。

そこで試した話で「これウケたからラジオでもしゃべっちゃおう」みたいなことが結構あって、それがそのうち、ラジオで話してることに気付きだした人たちが「試してんじゃねーよ」って言い始めて話せなくなってきたという(笑)。

――ちなみに、これまでで手応えを感じたフリートークってありますか?

「これ俺にしかできない話だろうな」って思ったのは、退職願を出す話ですね。やっぱり退職願を出す話って(タレントではない)僕しかできないですもんね。「これフリートークにしていいんだ?」って思いながら。昨日テレビ東京の役員に会ったんですけど、「聴いたよ、退職願の話」って言ってましたね(笑)。

――最近の“部屋に閉じ込められてしまった”っていう話のオチが“うれしょん”だったのも衝撃的だったんですけど(笑)。

あれはおじさんじゃないとできない話だから。若いと“うれしょん”しないから(笑)。

――恥ずかしさみたいなものは回数重ねるうちになくなったって感じですか?

あんまり自分をトークで取り繕うことはしない方がいいというか、(リスナーとして)そういうパーソナリティーの方が好きだなって。今でもラジオ聴いてるから、僕の中に“しゃべり手”って意識よりも“深夜ラジオリスナー”って気持ちの方が強くて。だから、ラジオの中で小っちゃいウソをついてもしょうがないというか、取り繕うより面白い方が良いみたいな気持ちはあるんですよ。

あと、「まあいいんじゃない」って大抵のことは許してくれる家族で良かったなって。だからどっちかというと、自分よりも妻と娘の心が広いから自由にしゃべれる。嫌じゃないですか、父親の“うれしょん”の話(笑)。それでも仲良くやってるんで、どっちかというと家族の度量が大きい気がします。

――今回の本に収録されているフリートークにも登場しますが、ご家族のエピソードを話しても、同じように大目に見てくれるんですか?

それは後で「ネタにしたな?」ってすげー怒られましたけど、でも事実だから。事実なんでしょうがないですよね(笑)。娘と2人で夜中にワイングラス割った話も実話ですからね。あんなの考えても思いつかないですから。

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