adieu(上白石萌歌)ミニアルバム『adieu 2』をリリース!「歌はより裸になるような表現なのかなって思います

2021/06/30 12:00 配信

音楽 インタビュー

【写真を見る】「より別れというものの重みを感じるようになりました」と話すadieu (上白石萌歌)撮影=藤田亜弓

カネコアヤノによる「天使」では、天使のような何らかの存在に癒されるような描写が歌われる。

「曲を聴いたとき、少し投げやりな、ベランダでタバコを吹かしてるようなキャラクターが浮かんだんです。元々カネコさんの歌の哲学みたいなものにもすごく共感していたし、“ぬいぐるみは殴れない 愛おしくて”という一文は私自身だなって思ったので、主人公像も浮かびやすかったです。その一文はふと自分の中で現れる荒々しさや暴力的になってしまう瞬間を代弁してくれたというか、『誰でもこういう荒々しさってあるよね』って思いました(笑)。この曲はカネコさんのデモの弾き語りに近い形でアレンジしていただいて、曲の良さをすごく引き出していただけたと思っています」

コロナ禍において、“adieu”というアーティスト名にこめられた意味について改めて考えたという。

「日常も大きく変わってなかなか人とのつながりを感じにくくなったり、以前より人の生死に向き合うことが多くなったり。いろんな種類の別れがあるんだなって強く実感した時期でもあるので、より別れというものの重みを感じるようになりました。偶然なのか必然なのか分からないですけど、さよならを歌う曲を寄せていただく機会が増えて。今の社会と少しリンクしている気もしますし、そこに対して責任を持って届けて行かなきゃいけないなと感じています」

どこか未成熟で、つかみどころのない浮遊感のある歌が魅力のadieuだが、どういう存在の歌い手でありたいと思うのだろうか。

「adieuの曲を聴くことで、少しでも生活に光がさしたり、行き場のない感情を歌によって受け止めることができたり、そういう曲を出していきたいと思うんです。歌う上である程度感情の余白を残すように意識しているんですけど、そこに聴いていただく方の想いを入れてもらって、私の曲でありつつ、聴く人の曲になればいいなと思っているんです。だから、音数もそぎ落として、声を立体的に包んでもらうようなアレンジになっているんだと思っています」

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