ーー雨宮さんは約7年間に渡ってエリザベスを演じてこられましたが、ご自身にとって彼女はどのような存在になりましたか?
そうですね。もしエリザベスと出会っていなかったら、私はきっと今とは違う役者になっていたんじゃないかと思います。そのくらいエリザベスからはいろいろなものをもらってきました。そもそも彼女と私とでは性格があまりに違いすぎていて、オーディションに受かると思っていなかったんです。いざ演じることになってからも、「どうしてこういうことを言うんだろう?」と、台本を一度読んだだけではなかなか共感できないことも多くて。そのたびに彼女の心情を紐解いて理解を深めていくことの繰り返しでした。そうしてエリザベスが持っているものを少しずつ分けてもらったことが、役者としての成長に繋がっていったのは間違いないと思います。
ーーエリザベスからはいったいどんなものをもらったんですか?
愛情の表現です。エリザベスってすごく愛情深くて、母性や慈愛、博愛の心が強いじゃないですか。でも私はそこまで愛情が深いタイプではないんですよね。身近な人には愛情を注ぎますけど、決して広くはない。だから私はエリザベスを通じて愛情の表現方法をたくさんもらった気がします。
ーーエリザベスを演じた7年間で、もっとも愛情表現の難しさを感じたシーンなどはありますか?
「七つの大罪 戒めの復活」の最終話「君がいるだけで」です。少しずつ昔の自分に戻っていることに苦悩して涙を流すメリオダスに対して、エリザベスが「大丈夫、大丈夫よ、メリオダス」といって彼を抱きしめるシーンがあるんですけど、その一連のお芝居がまったくうまくできなかったんです。「もっと母性的で包容力のある感じで」って何度もリテイクをもらうんですけど、自分では精一杯母性を出しているつもりなんですよね。あまりにもうまくいかなくて、だんだん「あれ? 母性ってなんだっけ?」って崩壊してきて(笑)。
ーーそれは大変でしたね。そういうことの積み重ねで、だんだんとエリザベスを自分のものにしていったんですね。
今でもちゃんとエリザベスを演じられているかは分からないです。ただ、今回の劇場版のアフレコでとあるシーンのテストを終えたとき、メリオダス役の梶裕貴さんから「今のセリフの言い方、愛情が感じられてすごく良かったよ」ということを言っていただけて、それがものすごく嬉しかったんです。最後の最後で「私も少しはエリザベスを演じられるようになったのかな」と思えた瞬間でした。
ーーこれで『七つの大罪』シリーズもいよいよ大フィナーレを迎えることになります。寂しい気持ちもありますか?
正直、それが、今の段階ではまったく実感がないんですよね。『七つの大罪』って、これまでもお休みを挟みつつ続いてきたシリーズなので、このあともまた収録があるんじゃないかと思ってしまうんです。ご時勢的にも、みんなで集まって「お疲れ様でしたー」ってワイワイすることもなかったので、よりそんな感じがします。だからこの先かなり遅れて「あぁー、終わったのか」って寂しくなるのかもしれません。
ーー最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
前の劇場版のときから『七つの大罪』はすごく劇場映えする作品だなと感じていたので、大きなスクリーンで思いっきり楽しんでいただきたいです。迫力のバトルシーンはもちろん、「七つの大罪」のテーマでもある「愛」がいたるところに詰まっているので、ぜひそちらにも注目してご覧ください。
取材・文=岡本大介
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