2021/07/11 12:00 配信
佐藤健主演による映画「るろうに剣心 最終章 The Final」(公開中)と「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(公開中)の表現の違いについて掘り下げる第4弾は、美術・橋本創、装飾・渡辺大智のコメントを紹介する。
「The Final」が明治の東京、「The Beginning」が幕末の京都と、世界観が全く異なる「るろうに剣心 最終章」2部作。シリーズ第1作から携わり続けている橋本と渡辺は、この2つの世界観をどのように表現していったのだろうか。
橋本は「The Final」の美術を、物語の中心である縁の設定をどうするかという部分から考え始めたと、映画「るろうに剣心」公式noteに掲載されたインタビューで語っている。
「暗殺者の許で育てられ、上海に渡り、マフィアとなったという縁のバックボーンからすると、青年期はほぼ中国で過ごしており、人格形成にも、趣味性にも、中国の影響は大きいと考え、縁の屋敷は、上海の要素もあれば、イギリスの要素もあるオリエンタルな意匠をほどこした洋館にしました」という橋本。
一方の渡辺は、装飾は“営みを作ること”だと同note掲載のインタビューで語っており、橋本が作った世界観に対して味付けを施していった。縁の屋敷には中国だけでなく、当時流通があった中東のもの、例えばトルコのものを置いたりすることで世界観を広げ、おなじみの中国っぽさを打破。建物も西洋人が東南アジアで建てている建物をイメージし、文化をクロスさせた。
「縁の“武器商人”という仕事は、言ってみれば総合商社ですからね。いろいろなものが混在していていいんです。中国流の生花なども入れることで、活性化させています。縁はきっと退屈している人間だと思うんですよ。なので、刺激が必要なんだろうなとも考えました。そして彼の心の拠りどころは、巴の肖像画が飾られている部屋。あそこは、子どもにとってのドールハウス。精神的に参ったときは、あの部屋に行く。そんなイメージです」と語る。
さらに、アクションも考慮して美術を組み立てており、縁の屋敷はアクションのステージングも意識して、剣心が屋敷に入ってから、1番奥で待つ縁の元までなかなかたどり着けない構造にしていると言い、「門を入ると最初に見えてくるのが、レンガ倉庫。この表の倉庫には武器や密輸品が置いてある。そんなイメージです。とにかく、ステージの段階を踏んで到達できる、そのようなコンセプトで屋敷は設計しています」と明かす橋本。
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