検温、消毒、チケットもぎりの廃止など一般的な措置に加え、「赤毛のアン」ではさらに踏み込んだ措置を講じると話す鹿毛氏。
「今回の『赤毛のアン』では行政指導以上の厳しい措置を実施します。まず、座席数の半減。100パーセントの収容が許されている地域の会場でも、です。その上で、劇の台本そのものを見直しています。例年に沿った2幕構成を止めて、劇の時間を短くする。途中休憩を挟まないことで、トイレなど一斉に人が動く密をなくします」
劇の短縮は、上演外の時間に行える衛生管理のオペレーションにもつながっている。消毒、列の並び、案内といったことに時間を使い、しっかり体制を整えるという。一方で運営の見直しは、「赤毛のアン」の特徴である市民参加を取り止めざるを得ないことになったとも。
「例年ですと、全国各地の公演に参加するキッズアクターのオーディションを春ごろに行っています。毎回1000人規模の応募があるのですが、密を生むリスク、運営、キャラバンの縮小化を図るために残念ながら今年は中止としました」
「赤毛のアン」への出演は、未来のミュージカルアクターを目指す子どもたちの目標の場でもあるだけに、オーディション希望者にとっても悔しさは大きかっただろう。
「本当はフルパッケージでお届けしたいんですよ。でも、今回はまずやることに意義がある。やるかやらないか、イチかゼロかの話ではなく、やるためには何を犠牲にしなければいけないのかと考えての決断です。コロナ対策というと一般的には衛生面に考えが行きがちですが、運営から劇のあり方も変更して、当然、出演者、スタッフを守る義務もあります。シーンによって可能な部分は分散稽古に。演劇、会場に関わるすべてのスタッフに、稽古期間からPCR検査を徹底して、最低1週間に1回は実施します。これ、とんでもない費用がかかるんですけどね」
これだけのオペレーションを構築して行うのが、今年のミュージカル「赤毛のアン」になる。
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