各テレビ局の4月期番組改編のラインナップが出揃った。局ごとに注力するポイントはさまざまだが、各局の今期改編の特色が最も表れているのが、土曜日の番組編成だ。
日本テレビでは、これまでの土曜夜9時のドラマと夜10時の「嵐にしやがれ」の入れ替えを実施。夜7時の「天才! 志村どうぶつ園」から「世界一受けたい授業」「嵐にしやがれ」と人気バラエティーの3段重ねで、強力な“縦の流れ”を作ろうという構えだ。そして夜10時のドラマは、従来の若いファンに加え、大人も楽しめる作品に、という狙い。第1弾は、亀梨和也主演のラブコメディー「ボク、運命の人です。」を送る。視聴率絶好調の日曜夜に続き、4月以降は土曜の夜も日テレが熱い注目を集めることになりそうだ。
テレビ朝日では、土曜の夜に高島彩がキャスターを務め、ディーン・フジオカも出演する「サタデーステーション」、さらに日曜夜には長野智子キャスターの「サンデーステーション」と、週末の夜に大型ニュース番組が誕生。近年多発している災害や地震への対応など、休日にもニュースの需要が高まりつつある社会状況を踏まえての改編だ。また、各ニュースの放送後は、人気深夜番組のアップデート版「こんなところにあるあるが。土曜■あるある晩餐会」(※■はハートマーク)、月曜から日曜へ枠移動する「しくじり先生 俺みたいになるな!!」を編成。“縦の流れ”作りも万全だ。
TBSは、「現行の番組の良さをできる限り生かし、改善すべき点は番組内でリニューアルを行う」(菊野浩樹編成部長)という今期改編のコンセプトに基づく低めの改編率で、やや堅実路線。土曜日は、「王様のブランチ」の新MCに渡部建と佐藤栞里を抜てき、「COUNT DOWN TV」は放送時間拡大、という形でリニューアルを図る。早朝には新番組「上田晋也のサタデージャーナル」がスタートするが、これもまた好評を博した深夜番組「上田晋也のニッポンの過去問」のリニューアルと見ていいだろう。
一方、TBSとは対照的に大幅改編を断行するのがテレビ東京。「テレ東らしい、新しい時代を担うソフトの開発と育成」をスローガンに、土曜だけでも、出川哲朗のゴールデン初冠番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」、さまぁ~ずがスポーツの魅力を伝える「さまスポ」、古舘伊知郎、坂上忍、千原ジュニアの豪華MCによる深夜のトーク番組「おしゃべりオジサンと怒れる女」など、数々の新プログラムがスタートする。
フジテレビは、「ゴールデンタイム(G帯)はファミリー向け、夜10時以降は若年層向けと、番組の作り方をはっきりと分けている」(宮道治朗編成局次長)との言葉通り、ターゲットを見据えた適材適所の改編を敢行。これまで土曜夜7時に放送していた「超ハマる!爆笑キャラパレード」を、より先鋭的な笑いに特化し、「ネタパレ」とタイトルも新たに金曜夜11時30分から放送。そして土曜夜7時枠には、新趣向のクイズ番組「最上級のひらめき人間を目指せ! クイズ! 金の正解! 銀の正解!」を始動させる。
またNHK総合では、土曜の放送は、好調の「ブラタモリ」をはじめ、ほとんどの番組が前クールより続行。土曜G帯の新番組はドラマ「4号警備」のみとなる。タイムテーブル全体を見渡しても、4月の新番組は平日午後のシニア向けの生放送「ごごナマ」など、数える程度。これは現行の番組が軒並み好評を博している証しだろう。
こうして各局の土曜日のラインアップを見渡してみると、既存の番組のマイナーチェンジや枠移動も多いため、一見どの局も消極的で守りに入っている印象を受けるが、その実、全ての局が明確な戦略を立てた上で、それに最も見合ったプログラムを組んでいることが分かる。局同士の競合のみならず、ネットやスマホがテレビメディア全体を脅かしつつある中で迎えた今期の番組改編は、新しい時代のテレビを作ろうという“攻め”の姿勢の表れなのだ。
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