元宝塚男役トップスター・望海風斗が新たな決意を語る「在団の生徒たちに恥ずかしくないようにはありたいです」

お客様と一緒に見つけていけたらいいなと思っています

コンサート「SPERO」を開催する望海風斗撮影=横山マサト/スタイリスト=菊池志真、ヘア&メーク=国府田圭

宝塚歌劇団雪組トップスターとして、その実力と美貌で究極の男役像を創り、絶大な人気を博し、この4月に退団したばかりの望海風斗。退団後すぐに出演した「エリザベートTAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート」では、在団中に演じる機会がなかったトート役を最高のパフォーマンスで魅せた。

そして今回、退団後初となる望海風斗CONCERT「SPERO」を開催する。

男役の豊潤な香りと素の望海の狭間に漂う、この時期にしか観ることのできない新しい “望海風斗”を観られそうだが、望海は、そのコンサートでどういう自分がいるのかを見つけていきたいと言う。今の率直な思いを聞いた。

「宝塚の時は男役としてそれまで培ってきた創られたものをお届けしてきましたが、今回は全て脱ぎ去りニュートラルな位置に立って、これからどう進んでいこうかというところをコンサートでお届けできたらいいなと思っています。改めて1人の人間として、音楽やダンスなどと向き合ってみて、どういうものが生まれるのかなと。自分自身それが楽しみですし、お客様と一緒に見つけていけたらいいなと思っています」

本作の構成・演出は、望海の宝塚退団公演のショー「シルクロード~盗賊と宝石~」でも振付を手掛けた川崎悦子が手腕を振るう。川崎と言えば、数多くの宝塚作品や、劇団☆新感線などの舞台、さらにはテレビドラマやCMでも引っ張りだこの演出・振付家。

「サヨナラ公演でも振付をやっていただきましたし、このコンサートでも。“最後”と“最初”をみてくださるというのがうれしいですね。先生の世界観――人間が本来持っているものを一番大切にされていらっしゃると思いますので、そういう意味では、どういうことに挑戦したら新しいものが見えるんだろうと、より今の私が素敵に見えることを考えてくださっていると感じます」

構成は、宝塚在団当時の作品から思い出の楽曲や、ジャズ・ポップスなどのスタンダードナンバー、そして海外ミュージカルの楽曲に至るまで、歌の背景にドラマが見えるような“心に沁みる歌声”で綴られる。加えてショーアップされたシーンも盛り込み、“音楽”を思う存分楽しめるコンサートにしたいという。さらに、スペシャルゲストとして、ラミン・カリムルー井上芳雄海宝直人といったミュージカル界のスターたちが顔を揃える。

「スタート地点でご一緒させていただけて光栄です。皆さんプロフェッショナルな方たちなので、いい刺激を受けて吸収できたらと思いますし、一緒に歌わせていただくことによって自分の歌に対して新たな発見ができたらいいなと思っています。きっと力強く引っ張ってくださるお三方だと思いますので、身を委ねたいなと。今はまだ男役でいるほうが自然体で表現しやすかったりするのかなと思いますが、お稽古期間を経て初日までに自分がどのくらい変わっていくのか楽しみですし、そんな未知の世界を一緒に体験していただけたらいいですね」