――不思議というと浅香さん自身もそうだと思います。作品ごとに印象が本当に違って、素が見えない。カメレオン俳優と称されることもありますが、そう言われるのはご自分ではいかがですか?
うーん、どうですかね?それを意識してやっているわけではないですからね。個人的には、突出した個性を持っている方にあこがれます。強烈な個性があれば、“何やっても一緒だね”と言われてもいいかな?って。でも、そういうお芝居はやろうと思ってもやれるものではないですからね。
―― 一つ一つの違う顔を見せるためにはかなり緻密な役作りが必要なのではないかと思いますが、普段、役作りはどのように行われているんですか?
誰に教わったわけでもなく、現場でやっていくうちに身についてきたものだと思いますが、特別こうしなきゃいけないと決めていることはありません。
――俳優さんによっては、脚本に書かれていない部分の年表を作ったりする方もいるそうですが?
そういうことをすることもありますが、作品によって違います。役の背景が大事な時は年表みたいなものを作るし、この役はキャラクターものだなという時は現場のリアクションから作っていくし、がっつりヒューマンドラマの時は周囲との関係性や役の本質を考えたり、ものによって変わりますね。
――役との向き合い方もフレキシブルだからこそ、役の振り幅も広いのかもしれないですね。
そうかもしれないですね。
――浅香さんは現場でよく昼寝をされるそうですねが、ほかにも必ずすることはありますか?
朝から夜までの撮影では、昼寝をします!昼寝をしないと無理なので。ほかには特に決まり事はないですね。僕は「常に刺激がほしい」とずっと言っているんですが、自分自身はすごく単調な人間だと思っています。こういう仕事をしているからそういう人間になったのかもしれないですが、仕事で喜怒哀楽を表現して、日常に戻ってくるということがルーティンになっていて、特別なことをしているという感覚はないっちゃないんですよ(笑)。
――そうなんですね。浅香さんは本当にいろんな役を演じていらっしゃいますが、今後やってみたい作品はありますか?
今はアクションとSFですね。今、自分のなかのお芝居への熱量がすごく高いんです。「酒癖50」も高いレベルのところでいろんな相乗効果が生まれて、すごくやりがいを感じましたし、少し前に撮影していた「コントが始まる」(日本テレビ系)の現場でもまた別の意味での相乗効果を感じました。
だから、今、完成度の高いものを作りたいという気持ちがすごく強くて。完成度が高ければ高いほど、見る方の没入感も増すと思いますし。例えば、ハリウッドのSF映画はストーリーに関係なく、あのクオリティで作られると思わず没入してしまいますよね。それから、今回の「酒癖50」のようなストーリーでも、映像も音も総合的に完成度が高いとそれだけ伝わるものも繊細で深くなる。今後もそういう作品と出会って、今回のように深く役と向き合いたいなと思います。
――最後に、今回の「酒癖50」は酒の場の問題が詰め込まれた問題作だと思いますが、どんな人に見てほしいですか?
そうですね。飲みの誘いを断れない先輩というのは業種を問わずいると思いますが、自分は違うと思っている、その当人に見てほしい作品だなと思います(笑)。
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