飯田譲治、脚本完成まで武田真治が“頭の中”に「武田君だけじゃなくて豊川(悦司)君もいて…(笑)」<NIGHT HEAD 2041>

飯田譲治と武田真治がインタビューに応じた 撮影:田中隆信

――アニメを見た印象は?

武田:まずは何より「美しい!」と思いました。そして普遍的なテーマだなと思いました。序盤は、登場人物たちが自分の能力に戸惑っている状態で、自分の能力を自分の未来のために、世の中のためにどう使うか。自分が望んだ使い方とは違う使われ方を望まれていることへの戸惑いとか。今、年齢が50前になったから感じるようになったと思うんですけど、“戸惑い”って美しいなって思うんです。“生きづらい”中で自分なりにいろいろ考えて立ち向かっていくことは尊いなって。

――“生きづらさ”というのはドラマ版でも感じられたものですよね。

武田:はい。“生きづらさ”というのは誰もが感じていることだと思っていて、普遍的な問題ですよね。角が立ち過ぎる直人は強過ぎて生きづらく、引っ込み思案な直也は弱過ぎて生きづらい。これって現在にも置き換えられることだと思うんです。ジェンダーレスとか、他の人と違う精神構造を抱えている方とか、まだまだ生きづらい世の中ではあると思うので、直人と直也が他の人と違っていて“生きづらい”という状況を描いた「NIGHT HEAD」が今の時代によみがえるのはすごく納得できます。「特殊な設定の作品だから見なくていいや」と思っている人がいたら、「見ないともったいないですよ」って言いたいです。誰にでも当てはまる葛藤が描かれているからって。

飯田:そう言ってくれるのはうれしいな。僕がクリエーターとして、この30年間で学んできたこと、プラスされてきたものがこの作品に込められていて、自分が変化したことによって、より深く考えられるようになったので、「NIGHT HEAD 2041」は、そういう変化も楽しんで見てもらいたいです。

――時を経てアニメ化されました。これからスタートするところではありますが、その先のことは?

飯田:まだ何も考えていません。先のことは分かりませんから、まずはアニメを見てもらって、ですね。

武田:実写とは違うアニメならではの良さがあったりしますし、「NIGHT HEAD 2041」は表現の細かさとか、アニメの特性をフルに生かされた作品だと思います。ドラマの方も配信が始まっていて、見てほしい気持ちはありますけど、もし次に「実写だったらどうなるのかな?」って気持ちが高まったとしたら、その時は若い人たちでやるべきでしょうね。「NIGHT HEAD」を“懐かしいもの”にしないためには新陳代謝が必要ですから。でも、アニメが世界的に人気になって、どこかの国で実写が作られるんだったら、ちょこっと出てみたいかも(笑)。


◆取材・文・撮影=田中隆信

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