そして、人間の主人公・英志に対して、妖怪側の主人公と言えるのが“白狐”。白狐を演じた七海ひろきが明かす、役柄や朗読劇での声による表現についてのコメントを紹介しよう。
「妖怪の長として、信念を貫き行動力のあるとてもカッコいいキャラクターだと思います。人間と妖怪の間で揺れる優しい心を持っているところも、とっても魅力的です。作品の最初は、クールで冷酷。人間とは分かり合えないという気持ちが、人間の優しさや絆に触れ、人間の味方になっていくという心の変化を大事に演じたいと思いました。妖怪の長でもあるので、威厳や強さも声で表現できるようにしたいと思いました。そして、素晴らしい先輩方とご一緒させていただくので、4回公演でいろいろ学び進化したいという気持ちで挑ませていただきました」
サブタイトルにある『妖怪大戦争』という言葉から、“冒険”や“アクション”をイメージする人も多いかと思うが、この作品ではしっかりと人間ドラマが描かれた感動作となっている。語り部が上手の高い位置から物語を進行させ、主人公・英志らがステージ中央、その後ろに白狐を中心とした妖怪たちが高い位置に陣取る。
映画のような特殊メイクは施されていないが、衣装、表情、そして声の表現によって、妖怪たちもそれぞれのキャラの個性・容姿のイメージが膨らんでいった。今野多久郎が音楽監督を担当しているが、今野と野崎めぐみのパーカッショニスト2人がキャラたちの情景や心情を表現したり、ウィンドミル効果音的な音を発したり。メロディを奏でる楽器ではないパーカッションだけというのは舞台としては珍しいが、この朗読劇との相性がとても良く、時には繊細な音で、時には体に響くような厚みのある音で、物語の場面を演出していた。
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