鞘師里保、“心をすっぴん”にして届けた“今の私” 見られるのは怖いけど、知ってほしい私の真ん中のこと

鞘師里保が8月4日に1stEPをリリース。9日にはワンマンライブを開催した※提供写真 8月9日ワンマンライブより

ハッと気付いた、「私ってそういうのが苦手な人間」


――作詞をした今回のEPに込めた思い、楽曲制作から携わっての気持ちからお話しいただけますか?

まず、タイトルの「DAYBREAK」は日本語で“夜明け”という意味になります。休業を経て、また音楽活動をしていく私自身の“夜明け”でもありますし、“新しい朝を迎える”という、私がいたモーニング娘。へのリスペクトから付けたタイトルでもあります。

今回改めて皆さんに歌を届けるとなったときに、年齢も重ねたし、今の私だからこその歌、パフォーマンスでないと、活動を再開した意味がないと思いました。そうでなければ、過去の動画を観ればいいってなってしまうじゃないですか。楽曲制作においてはそういうところ、ジャンルもそうですし、自分の言葉で歌詞を書いて伝えるということを強く意識して取り組んでいます。

――歌詞を読むと、自分への当て書きのようにも受け取れます。どんな気持ちで書かれたのか、気に入っているフレーズがあれば教えてください。

普段、コラムなどで言葉を発するときは、しっかり自分の意図が届くように、人を傷つけないようにというのを意識して、その言葉にウソはないですが、何度もブラッシュアップして選んだ言葉で届けるように意識しています。でも、今回の歌詞は私自身を表現するものでもあるから、きれいな言葉、ろ過し続けた言葉はちょっと違うんじゃないかという思いがありました。そういう意味で思い付いた言葉をバーっと書き出して書いているんですが、そうすると今度は逆に、「これを発表してもいいのかな…?」という不安が湧いてきたりもして…。これは全ての楽曲に対して思ったことです。

節のこと、曲の展開のこと、いろいろな制限がある中で書くのは大変でしたし、こんなに率直な言葉でいいのだろうか、という気持ちもありました。そうした中でも気に入っているのは、「Find Me Out」のBメロ、「私をもっと知って欲しいのに 真ん中を見られるのは怖いから」というフレーズです。これはもう私自身が本当にそういう人間で、私のパーソナリティーを代表するような文章です。今回の歌詞を書く上で、自分の奥にあるものを出さなきゃ、出さなきゃとすごく考えて、「でも、私ってそういうのが苦手な人間だよな」と、ハッと気付いたときに思い付いたフレーズです。

自分のことだけど、自分の性格を言葉にするのってすごく難しい。だからこそ、その難しいと思うことを言葉にすればいいんだ、みたいなところ。これが今の自分だなって、とてもしっくりくる言葉です。

――楽曲の制作過程に深く関わるのは初めてですよね?

そうですね。ここまで深い関わり方は初めてです。

――Akira Sunsetさん、TAKAROTさんらヒットメーカーを迎えての作品です。クリエイター陣とは、具体的にはどのようなやり取りで進められたのですか。詞先、曲先、メロディーのオーダーなどはされたのでしょうか?

そこは曲によってアプローチが全く違っていて、例えば「LAZER」は私が伝えたいこと、そのイメージに合う音はどういうものかという、歌詞と音を決めるところから作曲のTAKAROTさん、作詞(共作)のカミカオルさんと3人でイチから話し合って作っていて、「Find Me Out」は詞が先です。言葉を決めてから、宮野弦士さんに曲を付けていただきました。

逆に、Akira Sunsetさん、APAZZIさんと作らせていただいた「Simply Me」と「BUTAI」はトラックオーダーが先です。ダンス、踊りの舞台に対する私の気持ちをお話しして、作っていただいた曲に歌詞を付けています。「Puzzle」はコンペ曲で、「あ、これいいなあ…」って、私が歌詞を付けたいと思った曲を選ばせていただきました。本当に曲ごとで全く違う作り方をしているんです。

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