多彩なコンセプトを掲げたミックスCDを発表し続けているDJ和インタビュー!「CDと共にどこまでいけるのか試したい」

2021/08/11 12:00 配信

音楽 インタビュー

『時間旅行 [DJ和の"あの頃"アニソンMIX]』をリリースするDJ和撮影=大石隼土

――『時間旅行[DJ和の"あの頃"アニソンMIX]』というタイトル通り、曲はもちろんのこと、作品に対してだったり、観ていたときの自分の状況等、いろんな感情蘇ってくるような1枚になっていますね。

「この作品をキッカケにして、つながっていくと嬉しいですね。結構、今までを振り返るとか懐かしむって、もっと大人がやることだと思ってて。今、僕は34歳なんですけど、そうやって懐かしむ世代になってきたんだなと実感してます(笑)」

――DJ和さんはストリーミングサービスを使った形でのプレイリストもたくさん公開されているじゃないですか。でも、こういった作品はCDとして発表している。そのこだわりについてお話してもらえますか?

「時代的にストリーミングサービスやYouTubeで音楽を聴くことが増えて、僕自身も超便利だなと思って使っているんですけど、まずはモノとして残したいという気持ちが一つ。ネット上にある音楽って、いってしまえばデータじゃないですか。ミックスCDの場合だと、いろんな曲がつながった一つのオーディオファイルになるわけですけど、僕の場合、他の方々の曲をお借りしてCDを作らせていただいている作品になるので、それだけだと価値が生まれないなと思ってるんですよね。ただ集めているだけど苦労が足りないな、と。だから、漫画家のあらゐけいいちさんにジャケットを描いていただき、アニメ音楽評論家の冨田明宏さんに解説を入れていただき、それらを全部含めて一つの作品という感じなんです。0から1にしてるわけじゃないし、すでに100の価値があるモノを100のまま発表するんじゃなくて、いろんなモノをかけ合わせて200にしたい。そうすることによって、DJとして、僕としてのモノづくりの価値が生まれるんだろうなと思ってます」

――自分なりのひと工夫をして、改めて提示していきたいという。

「そうですね。例えば、多くのコンピレーションCDって歌詞が載ってなかったりするじゃないですか。でも、僕の場合、40曲入れたら40曲分の歌詞も載せる。だから、CD自体も結構重いんです(笑)」

――確かに、DJ和さんが企画してるミックスCDって収録曲のボリュームだけじゃなく、物量的にも重いですよね。

「それって、重要なことだと思ってて。ただ曲が入ってるだけだとストリーミングサービスで聴けばいいじゃん、となったりもするし。取っておきたくなるモノにしたいという気持ちは昔からありますね」

――この『時間旅行[DJ和の"あの頃"アニソンMIX]』が29作目になるわけですけど、30作目は何かしらアニバーサリー的なことを考えたりも?

「いや、全然考えてなかったというか。何作目って気にすることがなくて、僕自身も忘れてたりもするぐらい(笑)。ただ、時代の流れを見極めつつ、常に新しいことを考えていくんですけど、CDという存在がこの先どうなるのか。その問題は常に抱えてまして」

――実際、CDを再生する機械を持ってない人も多いですからね。

「でも、そこでネガティブになるより、CDと共にどこまでいけるのか試したいという気持ちにもなってて。その限界への挑戦というか」

――あとは『時間旅行[DJ和の"あの頃"アニソンMIX]』で生まれたリアクションから生まれるアイデアもありそうですしね。

「そうですね。DJって、かけた曲の反応を待ってるというか、リアクションが良かったからこっちの曲へつなげる、といったこともしますから。作品としても反応次第で変わっていくところがあるし、そのあたりも楽しみたいですね」

取材・文=ヤコウリュウジ

関連人物