竹原が今も変わらずガチであることは、YouTubeが成功していることと非常に関係している。YouTubeで成功するうえで大切なことの一つに、「YouTubeに本気で取り組んでいるかどうか」がよく挙げられるからだ。
YouTubeの視聴者はとにかく手厳しく、テレビの片手間でYouTubeをやっているようなタレントには容赦ない。 “カジサック”ことキングコングの梶原雄太、オリエンタルラジオの中田敦彦など、成功しているのは捨て身の覚悟でYouTubeに飛び込んだ一部のタレントだけだ。
そういった意味でも、竹原のYouTubeへの“ガチ”さは視聴者から共感を集め、多くの再生回数を記録する一因となっているといえる。竹原と対決したシバターも、8月4日に自身の公式チャンネル「PROWRESTLING SHIBATAR ZZ」に公開した動画で、対決を振り返り「竹原さんガチだった。マジで俺がビビるくらい本気でパンチを振ってきた。あんな気合入ってる50歳いない」と舌を巻いていた。竹原がお約束に則ったぬるいプロレスではなく、やるかやられるかの真っ向勝負を志向していることが良くわかる。
なお、このシバターとの対戦には、シバターがYouTubeで竹原を挑発し、竹原が挑発に乗り対戦が決定…という流れがあった。この流れを最初にやった格闘家YouTuberが朝倉未来だ。ここ数か月の竹原の動画は、シバターとの対決動画含め、朝倉をはじめとした有名格闘家YouTuberがかつてヒットさせた動画を参考にしている部分がある。たとえば、毎回様々なヤンチャな一般人とリング上でスパーリングする「竹原!舐められるシリーズ」は、朝倉がYouTuberとしてブレイクしたきっかけになった「街の喧嘩自慢とスパーリング」企画とよく似ているし、7月11日に公開した路上喫煙を注意する動画も、朝倉やその弟の朝倉海などがやっている。
しかしテレビと違ってYouTubeは、ある意味「真似」や「コラボ」がオープンに許されるプラットフォームだ。なぜなら、真似されるほどにその起源となった動画が視聴者の関連動画欄に表示されやすくなり、結果として、オリジナルを編み出したYouTuberが得をするようにできているからだ。
来年1月に50歳を迎える高齢で、かつステージ4のガンを克服して間もないにもかかわらず、竹原が20代の現役格闘家YouTuberの企画を参考し、彼らがやるようなことに身を投じていることは驚異的だし、YouTubeに対して本気で向き合っている証拠だろう。
しかも、竹原の動画には、「ガチンコファイトクラブ」のエッセンスも随所に見られる。そのため、イマドキの格闘家YouTuberのトレンドを真似しても、単なる真似で終わらず、独自の色を出すことに成功しているのだ。「ガチンコ!」のノリはどこか既視感があって、懐かしい。その点も幅広い層から受け入れられ、結果として再生回数が付いてきている理由なのかもしれない。