活動休止から29年、令和の今も愛されるちあきなおみの魅力

2021/09/01 12:00 配信

音楽

ちあきなおみ※提供写真

昨年10月、TBS系「本当のとこ教えてランキング」の「プロの声楽家131人が選ぶ、日本音楽史で本当に歌がうまい女性アーティストベスト30」で、美空ひばり、山口百恵に並び、ちあきなおみの名前がランキングされていた。1992年に活動を休止以来、一度も表舞台に姿を見せることなく現在に至っているちあきなおみ。しかしその人気は今なお色あせていない。

2015年以降、BSなどでは毎年「ちあき特番」が放送されている(再放送を含む)。レーベルによれば、昭和歌謡を扱う長時間特番で、代表曲「喝采」を歌う姿が放送されると、その直後にCDのセールスが伸びるという現象が起きており、今なお新たなファンを獲得していることがうかがえる。近年は桑田佳祐、宮本浩次、氷川きよし、田村芽実など、幅広い世代のアーティストにカバーされており、そこから本家に興味を持った若年層のリスナーも多いようだ。

ちあきは幼少期から米軍基地のステージでジャズを歌い、69年に「雨に濡れた慕情」でデビュー。独特の色気をしのばせたハスキーボイスで「四つのお願い」などのヒットを重ね、72年に「喝采」で日本レコード大賞を受賞する。80年代以降、ドラマや映画、舞台にも多数出演。コメディエンヌぶりでCMやバラエティでも人気を集める一方、ジャズやファド、シャンソンのアルバムを制作するなど、ジャンルを超えた音楽活動を展開した。

ちあきなおみ※提供写真

2019年に発売されたコンセプトアルバム「微吟(びぎん)」は、「喝采」「紅とんぼ」「矢切の渡し」などの代表曲に加え、名唱の呼び声高い「朝日のあたる家(朝日楼)」「ねぇあんた」「夜へ急ぐ人」も網羅し、販売枚数は現在までに35,000枚を超える。さらに今年の3月にはBOXセット「The Anthology of NAOMI CHIAKI ちあきなおみ大全集」が20年ぶりに復刻。オリジナル曲だけでなく、演歌やムード歌謡、昭和の名曲のカバー、叙情歌・ふるさと歌謡など、全80曲を収録した5枚組BOXは、ちあきのすべてが詰まっていると言っても過言ではない内容で好評を博している。

独自の感性でドラマチックな世界を表現するちあきなおみは唯一無二のシンガーとして、これからも新しいファンを獲得し続けていくことだろう。

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