前島亜美が主人公に恋する役柄に共感!「そうですね...、好きだと思います(笑)」

2021/08/23 18:00 配信

芸能一般 インタビュー

前島亜美

前島亜美が9月2日(木)より上演される舞台「ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-」に出演する。

同作品は、映画「グラディエーター」(2000年)や映画「ラスト サムライ」(2003年)などを手掛けたハリウッドの脚本家、ジョン・ローガンが、1924年に世界を震撼させた「ローブとレオポルド事件」を題材に執筆した戯曲で、人気脚本家で映画監督の君塚良一が舞台の初演出に挑戦する。

「ローブとレオポルド事件」とは、裕福な家庭に生まれ天才と呼ばれていたユダヤ人の大学生2人が、同じく裕福なユダヤ人実業家の息子を誘拐して殺害し、終身刑プラス99年の懲役刑を受けた事件。彼らの動機が「完全犯罪を遂行することで、自分たちの優位性を立証しようとした」ということから、当時の世論に「未成年によって行われた犯罪では史上最悪である」といわしめた歴史に残る猟奇的殺人事件。

物語の中心となるリチャード・ローブ役をふぉ~ゆ~・辰巳雄大が演じ、ネイサン・レオポルド役を林翔太が演じる。前島は、ローブのガールフレンド・ジェルメインとローブの精神鑑定を行うハルバート医師、裁判での世論を表す新聞記者という3役に挑戦する。

今回、前島にインタビューを行い、同作に懸ける思いや台本を読んだ感想などについて語ってもらった。

――同作品に出演するきっかけは?

「実は以前、この作品のプロデューサーの可児理華さんが演出をされていた舞台に出演させていただいていて、その時に『有名な戯曲であったり、翻訳劇にとても興味がある』というお話をさせていただいていたんです。それを可児さんが覚えてくださっていて、今回、私に声を掛けてくださいました」

――台本を読んだ感想は?

「実際の起こった事件を題材にした作品で君塚さんが演出されるということで、"期待MAX"の状態で読んだのですが、本当に面白くて!続きが気になって気になって、ぐいぐい読んでいきました(笑)。読み進めていくうちに自分の気持ちが高揚していくのを感じて、『すごく濃厚な会話劇だな』という印象を受けました。また、読んだ後にすごく自分の中に残るものがあって、『きっと観劇した皆さんも、持ち帰るものが多いのだろうな』と思いました」

――この舞台を通して成長したいことや楽しみにしていることは?

「もう、全部楽しみです!(笑) 私にとって数年ぶり2度目の翻訳劇で学ぶことがたくさんあると思いますし、何といっても君塚さんの演出に携われるというのはすごくうれしいです!キャストの人数も少ない中、大先輩の中でやらせていただく唯一の女性キャストでもありますので、作品に貢献できるよう頑張らないといけないなと気合が入っています。そんな中で、こういった"裁き"みたいなことがテーマになってくると、カンパニーとしてもディスカッションがとても大事だろうなと思っていて、芝居を作っている中での話し合いだったり、『どういうゴールを目指してやっていくか』というような、"完成までの過程"が特に楽しみですね」

――3役を演じるということに関してはいかがですか?

「ちょっと擦れている新聞記者、ローブを診察する精神科医、ローブのガールフレンドというそれぞれ全く違った視点で事件と対面するので、主にローブに対して考えを巡らせていくことが多くなると思いますが、それぞれの視点を大事にしながら演じていければと思っています」

――3役の中でもジェルメイン役が1番感情の動きのある役だと思いますが、どのような印象を持ちましたか?

「好きな男の子に振り向いてほしくてアタックしていく、わりと元気で行動力のある女の子という印象が強かったのですが、そんな中で、ローブとの距離を縮められず、凡人の自分は天才のローブとレオポルドの間にはどうしても入れないということが分かっている"対等にいられない切なさ"みたいなものも感じているんだろうな、と」

――ジェルメインが思いを寄せるローブについての感想は?

「役の説明文に『猫みたい』という一文があったのですが、まさにそうだなと。言葉遣いが上手いところとか、その場の空気に乗っかってするすると自由に生きている感じとかが『猫っぽいな』と思いましたし、女性が好きになるのも分かりますね。端正なお顔立ちでもありますし、明るく振る舞ってくれるから一見距離が近いように感じるけど、線引きがあってどこか陰のある感じが伝わってくるのが魅力なんだろうなって思います。モテたんだろうなぁ(笑)」

――ちなみに、ご自身はローブのようなタイプの男性はいかがですか?

「そうですねぇ...、好きだと思います(笑)。猫が好きなので、振り回される感じとかが...」

――同舞台は実際の事件を題材にした作品ですが、前島さんの"最近起こった事件"を教えてください。

「けっこう事件を起こすタイプなのでいろいろあるのですが、まさに昨日も起こしてしまいまして(苦笑)。スーツケースに衣装などを入れて、タクシーに乗って仕事現場に向かったのですが、目的地に着いて3時間くらいのんびり過ごして『そろそろ荷物を取り出そうかな』と思ってスーツケースを捜したら見当たらなくて...。思い返してみると、タクシーのトランクに入れたままだったことに気が付きまして、もうパニックになってしまいました(笑)。結局、領収書を見つけてタクシー会社に電話したら連絡を待ってくださっていて、無事にスーツケースを受け取ることができたのですが、届くまでは気が気じゃなくて『やらかす時はやらかすなぁ』と反省しきりでした」

――ローブとレオポルドは互いにかけがえのない存在ですが、前島さんのかけがえのないものは?

「幼少の頃から極真空手をやっていて、極真空手がなければ今の私はなかっただろうなと思っています。武道に興味があって、(極真空手がどのような流派なのかなど)何も考えずに入ったのですが、そこで上下関係や礼儀、気合、言葉遣いなど、いろんな作法や精神を学んだことが今の人格形成にすごく影響があったと思います。また、事務所のオーディションを受けた時に空手の型をやったんですよ。(オーディション参加者が)最初は7000人くらいいて、最終は20人くらいだったのですが、みんな女の子だったので武道をやっている子は1人もいなかったので、それが印象に残ったのかなと思っています。だから、空手がなければ今の自分になっていなかったでしょうし、今のお仕事もできていなかったかもしれないので、かけがえのないものは空手ですね!」

――最後に観劇にいらっしゃる方に向けてメッセージをお願いします。

「実際にあった猟奇的事件が題材ということで、けっこう重たい作品なのかと思われる方も少なくないと思うのですが、辛く苦しい作品では全くなくて、天才が起こした事件ではあるけれども、どこか他人事ではないような『自分にとっての正義』だったり『自分が正しいと思うものは何だろう?』というような、持って帰れるものがたくさんある作品になっています。ぜひ観に来ていただいて、いろんなものを持って帰っていただければと思います!」

文=原田健 撮影=中川容邦

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