「クリエイターズ・ファイル」#75 野良サウナ愛好家・サウナ田ヒロユキ

サウナの伝道師として、新しいサウナを開拓し続けるサウナ田ヒロユキ氏撮影=森山将人(TRIVAL)/(Ⅽ)クリエイターズ・ファイル

まだ誰も入ったことがないサウナを探していた中でたどり着きました

――なぜ、サウナ田さんは「野良サウナ」にたどり着いたのでしょうか?

うちの親父は子どもの頃、仕事が忙しくてなかなか一緒に遊んでくれませんでした。親父はサウナが大好きで、毎週日曜日に近所のサウナへ通っていました。子どもなのでサウナの魅力は分かりませんが、親父に遊んでほしくてよく付いて行っていました。そのうち水風呂で遊んだり、砂時計を持ち出して遊んだり、自分なりの娯楽を見つけて楽しんでいました。

中学一年の頃には僕が親父をサウナに誘っていましたよ。めちゃくちゃハマっちゃいましたね。担任の先生にサウナ部を立ち上げたいとお願いして断られたこともありました。当たり前ですよね、中学でサウナ部って(笑)。

それから、20代30代とサウナ漬けの日々でした。真剣にフィンランドに移住を考えたこともありました(笑)。ただ、年齢を重ねるにつれて、自分の体も変わってくるじゃないすか。そうすると、何だろう、今まで心地よかった暑さも次第にしんどくなってきちゃったんですよね。ふと、「何でこんな暑い部屋にいなきゃいけないんだ?」とか思っちゃったり。そのあたりだと思うんですけど、完全にサウナに飽きてきちゃったんです。

今振り返ると、それって、完全にサウナ思春期なんです。サウナを見るのも目の前を通るのも大嫌いになりました。「キモ、近づくな」なんて思ったり。その後、サウナ反抗期がやってきて、サウナ反抗期を超えると、サウナ変声期を迎えました。

それから状況はいろいろ変わって、五年前から第二次サウナ思春期に入っています。テレビに出ているサウナ、本に出ているサウナ、みんなが好きなサウナが今まで以上に受け入れられなくて、まだ誰も入ったことがないサウナを探していた中で“野良サウナ”にたどり着きました。勝手に僕がつけちゃった名前なんですが(笑)。

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