「ネタバレ禁止イベント」が人気好調、“拡散禁止”による共犯関係がファンを刺激

有料化で「アンチの排除」&“口外禁止”ルールで「共犯関係の構築」、熱心なファンが集まる背景


これまで芸能人が「テレビで言えない本音を話す場」といえば、深夜のラジオだった。たとえば、「ナインティナインのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)では、2000年前半ぐらいまでは「〇〇に挨拶したけど、無視された」など、タレントを実名で挙げる暴露トークもよく繰り広げられていた。しかし今は、ラジオでの迂闊な一言が即座にネットニュースやSNSで周知され、炎上につながる時代だ。こうした背景もあって、ラジオにおいて、かつてのような“秘密基地感”は、年々薄れつつある。

ラジオのほかにも、無料で見聞きできるテレビ、YouTubeは、熱心なファン以外も目にすることができる。つまり、そのタレントのアンチや叩きたいだけの人の目に留まる可能性があるため、結果として炎上につながるリスクを避け、話す内容に制限がかかる。

イベント「140」を開催している山里亮太※2015年ザテレビジョン撮影


しかし、有料という縛りを設けると、わざわざアンチは金を出してまで見に来ない。若林が「口外しないで、喋らないでくださいって言ったら、みんな守ってくださっていて。口堅い(リアルタイム視聴者の)6万人ってすごい」と言ったり、山里のイベント「140」が10年も続いたりしているのは、内容を暴露して炎上させることを目的とした観客がいない何よりの証拠だ。そして、「口外しない」「SNSで漏らさない」などの縛りもつくることで、「観客側がルールを守り、出演者も観客を信頼してディープなことまで話す」という、一つの“共犯関係”ができあがっていると言える。

趣味が多様化している現在だからこそ、限られた熱量のあるファンを囲うことは重要だ。そして熱心なファンが、オープンなメディアでは決して語られない刺激的な話が披露される場である口外禁止のライブイベントや、人気タレントの本音を日常的にキャッチできる秘密基地感のあるオンラインサロンに集まるのは当然だろう。そのため今後も、こういったイベントやオンラインサロンはさらに密室性を高め、ファンビジネスとしての色合いを強めていくのではないだろうか。

文=こじへい