1作目の『カントリーロード』と比べ、『サラダデイズ』『ブルーピリオド』と、ここ2作のミニアルバムは恋愛の曲の比率が低かったが、『レイジ―サンデー』は半数以上が恋愛の曲だ。
石原「『カントリーロード』に収録されている『いつか』の影響で、『Saucy Dogといえば恋愛のバラードの人たちだよね』という印象が強くなって、それを払拭したかったんです。だから2枚目の『サラダデイズ』と3枚目の『ブルーピリオド』は恋愛の曲の比率を下げたんですけど、『そんなこと気にしてる自分、ヤバッ』て思って(笑)。
『あのバンドは恋愛の曲が多いけど、恋愛の曲じゃない曲もめっちゃいいよね』って言われるようになればいい話なんで。それで恋愛の歌詞がバーって出てきて。今回の制作は初めてコロナの時期にドン被りしてたんです。それで1人でいる時間が多くなって。親にも会えない。実家にも帰れない。友達にも会えなくて寂しいなあっていう気持ちが大きくて。僕の得意分野は恋愛の歌詞だと思ってるので、寂しい気持ちを恋愛に落とし込んだり、思い出を引っ張りだして書きました。
女性目線のセリフが入ってる歌詞は前もあったんですけど、『シンデレラボーイ』は最初から最後まで初めてフルで女性目線の曲だったり、『リスポーン』もむき出しな意気地なさを歌ってて。『わけあって』もメロが今までのSaucy Dogと全然違ったり、『君がいない』もアップテンポで疾走感があるけどすごくふがいない歌詞を歌ってる。いろんな挑戦をする方向に行きました」
前半のブロックでは未練を歌った曲が続くが、ラストに収められた「sugar」は、すれ違ったりケンカをしながら未来に向かう二人を綴った曲だ。
石原「『君がいない』の歌詞に『「じゃあその時はよろしくね」 責任とってよね』っていうフレーズがあって。そのやりとりをしてた人たちが『sugar』で結ばれたらいいですよね。別れてまた付き合うみたいなものに希望を抱いていたのが『君がいない』で、『sugar』はその何年か後の答え合わせというか」
アルバム中盤には、今東京という街で自身と深く向き合う心情が歌われたミドルバラード「東京」が収められている。
石原「昔から“東京”っていう曲を書こうって思ってたんですけど、2回ぐらいボツになっていて。今回コロナもあって、地元を思い返すことが多くなったんですね。僕の地元の島根で仕事があって一回帰ったんですけど、『やっぱり島根っていいな』って思って、故郷の歌を書こうと思ってたんです。それで2番では上京して今現在どういう思いなのかっていうことを書いていって。
最後、サビの頭の2拍だけ歌詞が思いつかなかったんです。メロはできていて。それでスタジオで即興で歌ったときにふいに『東京』って言ってて。それがずっと頭にこびりついてて、ゆいかに『あそこの歌詞“東京”にしようって思うんだけどどう思う?』って訊いたら『私ずっと東京がいいって思ってたよ』って言ってくれて。それで歌詞を完成させたら、1番と2番が東京に出る前と出た後を対比させるようなサビになってて。
歌詞の “。”の位置を1番と2番で変えてるんですよ。強がって言ってたところから、今はいろんなことに慣れて、いろいろ嫌なこともあるけど、それでも元気にやってるよっていう流れになった。多分3人とも思ったんですけど、この曲なら東京ってタイトルにしても、他の名だたる『東京』っていう曲と比べても名前負けしない自信があったので、このタイトルにしました」
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