BLUE ENCOUNTボーカルの田邊駿一が新曲「囮囚(ばけもの)」、ドラマ「ボイス―」、そしてあふれるドラマ愛を語る!

2021/09/08 08:00 配信

音楽 インタビュー

【写真を見る】ドラマ愛を語り尽くす田邊駿一撮影=富田一也

――ドラマと切り離したとしても、深い絶望や痛みを感じさせながら、一筋の希望を求める曲になっていますよね。

「そうですね。結局ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかっていうのは聞き手に委ねるというか。『被害者なの?加害者なの?』みたいな表裏も表現しています。自分はいいやつだと思って生きていても、誰かからは嫌われていたり、敵みたいになっているということは、僕ら表現者だけに限らずいろいろな人に起こり得ることなので、どこかでそういう事態にも折り合いをつけて生きていたり。
ここ1、2年って、割と嫌な部分が社会で露呈してしまっている気がするので、だったら思いっきりそこに対して向き合ってやろうという感覚で作れたところもあります」

――田邊さんはドラマ好きという面と、主題歌を担当しているアーティストという二つの面から「ボイスⅡ」を鑑賞しているということですよね。

「だから毎週いろいろな緊張を感じています(笑)。今日はどこで曲がかかるんだみたいな緊張感もあるので。特に4話の、主演の唐沢(寿明)さん演じる樋口刑事のところにお見舞いに行った息子が唐沢さんを見るや否や絶叫する瞬間にこの曲がかかったときは、『ここここ!』って思って、めちゃくちゃガッツポーズしていました(笑)。作り手の意図を理解してもらえているうれしさもありましたし、『ドラマファンのみんなどうだ?』とも思いました。
あまりにもうれしくてツイートしちゃいましたから(笑)。ドラマが怖ければ怖いほど曲との相性が良くなるというね。僕、バンド界で一番ドラマ主題歌っていうところについては自信あります。もちろんどのバンドさんも素晴らしい主題歌を作られていますけど、やっぱりドラマってツボがあって、そこをしっかり読み解ける自信があるんです。何かすごいビッグマウスになってますけど(笑)、ここまではっきり言えることもなかなかないので」

──そんな田邊さんのベストワンドラマを聞いても良いですか?

「やっぱり聞きます?(笑)。僕はとにかく1990年代から2000年代初頭の木村拓哉さんのドラマが大好きなんです。一年で春と冬に必ず見返すのは『ビューティフルライフ』(2000年TBS系)ですね。『美容師×木村拓哉さんってこんなにいいんだ!』みたいな衝撃がありました。放送当時、僕は小学校5年生だったんですけど、母ちゃんに『美容師になる』って言ってたぐらいハマってましたね。
最終回で木村拓哉さんが、天国に行った常盤貴子さんにお化粧するシーンがあるわけですよ。そのときに、『お前、何でこんなに冷てえんだよ』って言うんですけど、小学校5年生でこんなに泣くんだっていうくらい泣きましたから。そのシーンは今見ても泣きますね。

二位は『GOOD LUCK!!』(2003年TBS系)です。TBSさんと木村拓哉さんの相性がすごく良くて。もちろんフジテレビさんとの相性も良かったんですけど、フジテレビさんは『HERO』(2001年ほかフジテレビ系)以降、ちょっと手の届かない感じのエンタメに振った木村拓哉さんみたいな感じだったんです。でもTBSさんの木村拓哉さんは目指したくなる職種というか。僕は『GOOD LUCK!!』を見てパイロットになりたくなって、パイロットにもなれる理数数系の高校に頑張って勉強して入りましたから。

木村拓哉さんが役の職を変える度に僕も目指す職を変えてましたね。さすがに『プライド』(2004年フジテレビ系)のアイスホッケー選手は目指しませんでしたけど(笑)。『空から降る一億の星』(2002年フジテレビ系)は共演の(明石家)さんまさんがうどんを食べるシーンがめっちゃ良くて、僕一時期うどんの食べ過ぎでめちゃ太ってましたから。
1990年代のドラマのバブリーな感じがとても好きでしたね。あと、今見ても色あせないベタさも好きでした。ラブストーリーもサスペンスも予想した展開になるんだけど、それが逆にいいみたいな。2000年代初頭から何年かは『トリック』(2000年ほかテレビ朝日系)とか堤幸彦さんの世界観が大ヒットして、緻密さや画角でこだわる時代がありましたけど、最近またベタなものが求められている感じもありますよね。
あと、2000年代ってサブカル感のすごい時期もありましたよね。『私立探偵 濱マイク』(2002年日本テレビ系)は毎回監督さんを変えて、テイストも毎回違って、EGO‐WRAPPIN’の『くちばしにチェリー』が主題歌で。僕、中学校で歌ってましたから。その頃、友達はSPEEDとかモーニング娘。を歌っていたんですけど、僕はドラマの主題歌とか映画音楽をよく歌ってて。映画『カクテル』の主題歌のビーチボーイズの『ココモ』とかよく分からず歌ってたので、友達の間では『田邊が歌い出すと大抵知らない曲だからもう寝る時間』みたいに思われていました(笑)」

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