――局アナからフリーに転向し、タレントとしてさまざまな活動をされている方もいます。
あまり意識することはないですね。いろんな方の名前を出していただいて、どう思いますかとか聞かれるんですけど、そこまで人のことが気にならないというか、みんな幸せだったらいいなと思います。
でも、やっぱり元アナウンサーの方ってどんな立場でもしゃべりはしっかりされているし、そういうところはどんな仕事をするにしても、私も最低限は守らないといけないという気持ちはあります。局が違っても(アナウンサーは)やっぱり先輩や後輩だし、初めて会う方でも半分仲間みたいな。会社員でありながらテレビにも出ているという独特な職業なので。頼もしいですね、いろんな方の活躍は。見ていてうれしいですし、楽しいです。
――フリーとなった今、局アナはどんな存在だと思いますか?
どうなんでしょうね。いろんなタイプの人がいるでしょうけど、結果的に置かれた場所で努力している人だと思うんです。
例えば報道やスポーツの現場でずっと取材していて、自分は表に出ても出なくてもその情報を届けることにやりがいを感じる人もいるし、実際にオンエアで使われなくても、自分が現場に通うことで信頼してもらったり、自分の勉強になったりすることもある。私自身そういう時間が大切だったころもありました。
一方で、バラエティーを担当していれば、最初から楽屋があってお弁当があって、タレントさんや芸人さんと並んで出演者として立つ。どうやって育ってきたかで、全然違うアナウンサーになると思うんですよね。
でも、それは求められていることが違うし、その場で必要なスキルも違うから、どっちが良い悪いということではなく、みんなが自分の置かれているところで一生懸命仕事をしようとして、努力していることなんだろうなと思います。
きっと、それすらしない人というのはそもそも採用試験で受からないでしょうし、これはどこの会社でも一緒ですよね。本人の希望通りの部署に行けるわけではないけど、行った先で頑張るしかない。アナウンサーも担当したかった番組やジャンルに行ける人って少ないので。やっぱり会社員ですからね、自分では選べない。だからこそ、自分の置かれたところで一生懸命努力できるかということだと思います。
――フリーアナウンサーと局アナで大きな違いは何でしょうか?
やっぱり自分で選べるところじゃないですか。アナウンサーになりたいと思ってなれたものの、番組や取材先、ロケ先などを自分で選ぶことは(局アナ時代は)皆無でした。今はお仕事を受けるかどうかから始まって、例えばロケに行くとしたら「どういうところがいいですか?」「どういうことやりたいですか?」と聞いてもらえる。自分から「こういうのどうですか?」と言うことも増えました。そこが一番違いますかね。そういう意味でフリーだなって思います。でも責任やリスクは大きい。少しでも手を抜いたら、明日全ての仕事がなくなるかもしれないという緊張感は、常に持っています。
フリーになるアナウンサーが多いと言われるんですけど、どうなんでしょう? 例えば、アイドルを卒業して女優になる方やアスリートで引退してタレント活動する方たちが、テレビに同じように出ています。そもそも芸能人になる前に会社員だった方とか、アルバイトで特殊な仕事をされていた方とかもいるわけですよね。
そういう意味では、なんら不思議じゃないというか、(局アナがフリーになるということは)特に多いわけでもなく、珍しいことでもないと思うんです。ただ、こんなに聞かれるということは、動向を気にしてくださっている方が多いのかなと思うので、ありがたいですね。
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