一方の吉村が特に思い入れのある曲とは。
吉村由美「『すすめナンセンス』は3年前に配信で出した曲ですけど、アニメの『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のエンディング曲ということもあって、未だにちびっ子にこの曲のことを言われるんです。『ちびまる子ちゃん』のスペシャルに私たちがキャラクターとして出たことがあるんですけど、そこで初めて子供の保育園の同級生に存在を知られたんです。『まるちゃんに出てたよね?』って。そこで急にキッズに大人気になった(笑)」
原作者のさくらももこワールド全開の歌詞はシュールさもあるが、PUFFY独自のユニゾンと違和感なく融合している。
大貫「元々メッセージ性があまりないままここまで来たのが良かったのかもしれない(笑)」
吉村「このアルバムで自分たちが詞を書いてない曲はいい意味でわけが分からないものが多いよね(笑)。自分たちで書くと少し真面目になってしまうところもあるのでちょうどいいんですよね」
ドレスコーズの志磨遼平が作曲とプロデュースを手掛けた「罪深いかもしれない」はノスタルジックでネオアコ調の曲。時間や記憶がキーワードとなっている歌詞が沁みる。
大貫「志磨くんには毛皮のマリーズをやってるときに『曲書いてほしい』って言って、『いいですよ』って言ってくれたんだけど、その後すぐマリーズが解散してちょっと戸惑いました(笑)」
吉村「『いいですよ』って言ったとき、もう解散決まってたでしょ?っていう(笑)」
大貫「そう(笑)。それで、改めて頼みづらいような時期を経て、今回こうやって書いてもらえたんです」
吉村「志磨くんは『PUFFYのイメージはこの曲です』って言ってましたね。でも志磨くんのデモテープの歌がすごく良くて、『これ志磨くんが歌った方が絶対いいよね』って思ったけど、頑張ったよね(笑)」
大貫「これ超えるのムズいなってね。歌詞は、志磨くんにどういうイメージで曲を作ったか聞いて。『昼と夜だったらどっち?』とか『キーワードみたいなの考えてた?』とか。そういうのを聞いた上で2人で持ち帰って、じゃあ時間帯はこうで登場人物はこんな感じでとか話して。そうしたら由美ちゃんが『膝を抱えている感じで』みたいなことを言って『あー、分かった分かった』って」
作詞においても2人の阿吽の呼吸が築かれているイメージがあるが…。
吉村「でもすごい簡単ですよ。一人称なのかなんなのか、朝なのか昼なのか夜なのか、色だと何色?という感じで話をして。どっちかが先行で書いたらその空いているところを見て書き足したり。ストーリーが全然違っても何となく色が同じだから違う雰囲気にはならないです。だらか『このことについて絶対書きましょう』っていうことは少なくて」
大貫「それで最終的に、こういう言い方をするとこっちと合わなくなるからこっちを変えようとか。そういう調整をしていきますね。誰か書いてくれたらいいんですけど(笑)」
吉村「でもちゃんとイメージを説明できないよね。説明したくもないしっていう悩むところがあって」
大貫「確かに説明するの野暮よね」
ラストに収められたtofubeatsによる「ALWAYS」は洒脱なビッグバンド風だ。
大貫「まさかこんな曲調でくると思わなかったので、『本当にこれいただいていいんですか?』っていう感じでした。急な大人っぽさに一瞬構えちゃいそうになったけど、すぐに『いつも通りでいいんだ』ってなりましたね」
歌詞にはPUFFYがさまざまな出来事を経て辿りついた、今の境地が滲み出ている。
大貫「経験が出ちゃったみたいな(笑)」
吉村「昔のことを思い出すわけでもなく未来でもなく、現在の社会の中の自分について書きましたね。最後は絶対新曲がいいという想いが大きかったのでこの曲を最後にしました」
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