稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾、Eテレ「ワルイコあつまれ」で見せた“演技力と対応力”

2021/09/24 08:30 配信

バラエティー コラム 連載

稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾※画像はWEBザテレビジョン タレントデータベースより

香取慎吾&草なぎ剛、演技力をフルに使った“偉人&学者インタビュー”


ワルイコあつまれ」は9月13日に#1が、20日#2が放送されている(その後の継続は未定)。先ほどの「慎吾ママの部屋」は、慎吾ママMCのトーク番組に、徳川慶喜をゲストに迎えたという設定。2000年に「サタスマ」(フジテレビ系)で誕生したキャラクターと、今年の大河ドラマ「青天を衝け」で草なぎ本人が演じる偉人という組み合わせ、時空が歪みすぎている。

最初こそ、慎吾ママが慶喜にニックネームをつけようとするユルい始まり方だったが、話は次第に歴史上の出来事に移り、大政奉還後のプライベート(写真を撮ったり絵を描いたり!)にまで話が弾む。そのあいだ、2人は「慎吾ママ」「徳川慶喜」のキャラクターから一切ブレない。慎吾ママは明るいキャラクターのまま、カタカナ語を連発して慶喜を戸惑わせ、慶喜は慶喜で時折鋭い眼光を挟みながら、たっぷり間を取って質問に答える。

草なぎの演技力は、#2の「好きの取調室」でも発揮されていた。舞台は取調室。黒スーツ&サングラスの草なぎ(ドラマ「TEAM」を思い出す)と対峙するのは、京都大学霊長類研究所に西村剛准教授。ワニとヘリウムガスという証拠品から、何らかの悪事を暴こうと草なぎだが、西村さんは淡々と自身の研究について説明する。

動物にヘリウムガスを吸わせて、声を出す仕組みを探っていること。ワニの声を調べることで、恐竜の声の出し方がわかること。ずっとサルの研究をしていて、鳴き声を真似できること。特にテナガザルの鳴き真似が子どものころから得意なこと――。

「嘘つけ!」と声を荒げ、険しい顔で取り調べていた草なぎは、段々と研究に興味を持っていく。この「相手を取り調べる」と「相手に興味を持つ」の心のバランスが絶妙で、徐々に気持ちを寄せていく表現力は「この企画で何もここまで」と思うほど。ラスト、「サルが好きなんだろ!」と詰め寄っても、西村さんに安易に「好き」と言わせない脚本もいい。

「慎吾ママの部屋」も「好きの取調室」も、どんなに設定だろうと彼らは与えられたキャラクターから外れない。むしろ最後まで全力で演じきる。だからこそ、偉人や研究者の生き様も「本物」として浮かび上がるのだろう。