――意義がある一方で、演じる上では勇気がいる作品のようにも感じました。
阿部:撮影当時は、新型コロナウイルスがどういうものか今よりもよくわかっていなくて、恐怖心がかなりあったときだったんですけど、地元の皆さんは僕たちを受け入れてくれて、エキストラとしても多くの方たちが参加してくださいました。撮影をやれることに幸せを感じましたし、やるからにはコロナ対策もそうですが、全うしなければいけないという責任感や集中力が当時は今以上にあったと思います。そういう中で、撮影現場に行ったら、震災直後の街の様子が美術スタッフによってリアルに再現されていた。その場に立ったとき、撮影で作られたものではあるけれど、その壮絶さに目を見張りました。
佐藤:まず本当に撮影が出来るのか、わからなかったんですよ。実際、撮影時期も一回延ばしていて、もしかしたら諦めなければならないかもしれないというぐらい微妙なところだったんですよね。いろんな条件や環境が整って、何とか撮影出来そうだということだったので、すごくありがたいなと思っていたのと同時に、最後まで撮り切るために、普段の撮影ではない、さまざまなことに注意しながらやっていかなければならなかったので、常に緊張感がありました。
これからどうなっていくのかもわからなくて、先が見えない状況の中、撮影は始まって、スタッフさんも含めてみんな不安を感じていたと思います。でも、実際に現場に入ると、結局やることはいつもと変わらず、作品と役に向き合うだけでした。
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