片桐はいり、コロナ禍で気付く“ダメな時間”の大切さ「その時間から生まれるものがとても豊か」<東京放置食堂>

2021/09/29 08:00 配信

ドラマ インタビュー

水ドラ25「東京放置食堂」で主演を務める片桐はいり (C)「東京放置食堂」製作委員会

日出子との共通点は?


――日出子との共通点をお聞かせください。

今回の撮影で気付いたのですが、役作りをする上でその人の弱点や欠点を見つけることが大事だと感じました。日出子は裁判官で私の想像を超える大変なお仕事だと思います。そんな人を演じるのは私にとっては雲をつかむような話だったので、実は魚が触れないとか、虫が嫌いとか、弱点を見つけていくことで共感を持ちました。

「正義の味方でもないのにお説教をするような性格って、どんな人なんだろう?」と考えました。その時に、寅さん(※「男はつらいよ」シリーズの主人公・車寅次郎)って恋愛経験が豊富ではないのに恋愛の話をうまくするよねと思い出し、説教やくさやを出すシーンは寅さんになった気持ちで演じています。

――共演している工藤綾乃さんの印象をお聞かせください。

工藤さんが14歳の時に映画でご一緒させていただいたので、大きくなったなと思ったのが最初の印象でした。今の印象としては、舞台になっている大島に似ているなと思います。肝が据わっていて何事にも動じず、一緒に演じる時も程よい緊張感があって居心地がいいです。

――主演を務める上で、撮影現場で心掛けていることはありますか?

演劇とかで座長を務める時は座員のことを覚えたり、健康を気遣ったりします。ドラマは規模が大きいので、なかなか難しいのですが、スタッフの方も個人として関わろうと思って接しています。なんだか偉そうですけど(笑)。照明チーム、衣装チームとか役割で覚えるのではなく、「海が好きな田村さん」とかそういうふうに覚えています。その方が私も現場にいて楽しいです。

――くさやのように“くさいけど、おいしい”物事を教えてください。

コロナの関係で時間がたくさんできて、今までなんで一生懸命に走っていたんだろうと思うことが多くなりました。今までの私は、一日家から出ない日があると、「なんで一日を無駄にしたんだろう。自分にとって何も収穫がない一日を過ごしてしまった」と悔やんだり、腐っていました。でも、今はそんな“ダメな時間”がとても大事だと気付きました。今まで無駄だと思っていた時間がこんなにも大事で、その時間から発酵して生まれるものがとても豊かだと感じています。

――日出子は人を裁くことに疲れて大島へやってきましたが、片桐さんは疲れたときにどんなことをしてリフレッシュしますか?

自転車に乗ることですね。去年、自粛期間が始まった時に電車に乗れないと思って自転車を買いました。その自転車に乗って走っていると、風と共に何かを吹き飛ばしてくれるみたいでストレス解消になります。